(食品安全情報2014年1号(2014/01/08)収載)
食品由来病原体であるサルモネラ、カンピロバクター、志賀毒素産生性大腸菌およびリステリア(Listeria monocytogenes)に適用可能な分子生物学的タイピング法について、それぞれ評価が行われた。評価は2つの項目について行われた。まず、汎用される分子生物学的タイピング法について、識別能力、結果再現性、繰り返し可能性、および現在または将来の国際的統一への適否に関する所定の各基準に照らし評価が行われた。次に、公衆衛生関連の様々な目的への使用の適切性が評価された。公衆衛生関連の使用とは、アウトブレイクの探知および調査、モデルを用いた感染源の特定、流行の可能性がある食品由来株の迅速な特定、リスク評価におけるデータの統合などへの使用である。これらの評価の結果、全ゲノムシークエンシングを含む分子生物学的タイピング法の微生物学的食品安全への使用および使用の可能性について、最新の知見が得られた。報告書には、食品由来病原体を対象とした分子生物学的タイピング法の使用について、全体論的な体系的アプローチを推奨する提言も掲載されている。特に、データ解析・解釈の統一における現行の限界を打破するための組織的な国際協力の重要性が提言されている。