英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
http://www.food.gov.uk/


英国食品基準庁(UK FSA)がカンピロバクター対策の新たな戦略を発表
FSA publishes new plan to tackle Campylobacter
30 August 2013
http://www.food.gov.uk/news-updates/news/2013/aug/campylobacter

(食品安全情報2013年20号(2013/10/02)収載)


 英国食品基準庁(UK FSA)は、カンピロバクター感染患者を減少させる新戦略の概要を発表した。この新戦略は、2013年9月11日に開催されたAberdeen(スコットランド)でのFSA理事会において議論された。

 カンピロバクターは、英国の食中毒の最大の原因である。カンピロバクターにより、食中毒患者46万人、入院患者22,000人および死亡者110人が毎年発生すると推定されており、これらの患者のかなりの部分が家禽肉の喫食に関連している。2007〜2008年に実施された英国の市販鶏肉に関するFSAの調査では、小売レベルの鶏肉の65%がカンピロバクターに汚染されていた。

 カンピロバクター患者の減少はFSAにとって食品安全上の最優先課題であるが、FSAが実施しているモニタリングの結果では、最も高レベルに汚染された鶏肉の全検体に占める割合は2008年以降変化していない。

 理事会議用の文書(下記のFSAのウェブサイトから入手可能)には、FSAが予定している以下の戦略の実施案がまとめられている。

  • より効果的なリスク管理を支援・奨励するため、カンピロバクターの汚染レベルに関してフードチェーンの様々な段階で得られる情報の量を増やし質を改善させる
  • フードチェーンの様々な段階でカンピロバクター汚染のリスクを低減させる安全かつ効果的な技術革新の導入を妨げる法規制上の障害に対処する
  • 地方自治体やその他の機関との協力により、カンピロバクターについて注意を喚起し、冷蔵鶏肉のリスクとその適切な取扱いを食品業者に確実に認識させる
  • ワクチンに関する研究計画やカンピロバクターに対処するその他の可能な長期的対策への支援を継続および強化する
  • 必要であれば法規制などの手段も用いて関係者に行動や取組みの変更を促す

 FSAは業界が以下の取組みに重点を置くよう期待している。

  • カンピロバクターの家禽群への定着を予防するため、農場でのバイオセキュリティ対策の有効性を継続的に向上させる
  • とさつおよび加工に含まれる工程がとたいの汚染の防止に有効であることを確認する
  • 消費者および食品提供業者が調理する場所での交差汚染を低減する包装方法やその他の対策に継続的に取り組む
  • 生産工程に適用した際に汚染を低減する新しい対策を考案し実施する

FSAによるモニタリングの詳細な結果

 FSAのモニタリングにより、最も高レベルに汚染された鶏肉の全検体に占める割合は2008年以降変化していないことが示されている。このモニタリングでは、英国の食鳥処理場で最終加工段階(冷却後)の鶏肉が検体として採取され、皮膚表面に存在するカンピロバクターの菌数が測定された。測定結果は、100 cfu(colony forming units)/g未満、100〜1,000 cfu/g、および1,000 cfu/g超の3段階に分類された。

 以下の表は、ベースラインとなる2008年の結果、モニタリング1年目の結果、および2015年の目標値を示している。現時点で得られている直近のモニタリングの結果も、ベースラインの値と比べ変化していない(表中に掲載なし)。最も高レベルに汚染された鶏肉の割合を2015年までに10%に低減させるという目標は、2010年にカンピロバクターに関する業界と政府の合同作業部会で合意され、公表された。モニタリングは2015年3月まで継続され、結果は毎年発表される予定である。


(FSA理事会議用文書)
FSA 13/09/04 - Revised strategic approach to Campylobacter reduction
https://acss.food.gov.uk/sites/default/files/multimedia/pdfs/board/board-papers-2013/fsa-130904.pdf



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部