英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
http://www.food.gov.uk/


生肉の除染処理に関する消費者の意識の定量的調査
A Quantitative Assessment of Consumers' Attitudes Towards Raw Meat Decontamination Treatments
5 May 2013
https://www.food.gov.uk/print/pdf/node/748 (報告書ダウンロード)
https://www.food.gov.uk/research/meat-hygiene-research-programme/a-quantitative-assessment-of-consumers-attitudes-towards-raw-meat-decontamination-treatments

(食品安全情報2013年11号(2013/05/29)収載)


 英国食品基準庁(UK FSA)は、以下の3項目に関する定量的データの収集を目的とした調査を委託、実施した。

  • カンピロバクターに関する英国の消費者の理解と認識
  • 生肉(具体的には家禽肉、牛肉)の除染のためにとちく場で実施可能な処理についての英国の消費者の意識
  • 家庭での交差汚染のリスクを防ぐための注意表示に関する英国の消費者の意識
 この調査は、予備調査、一次調査および聞き取り調査の3段階で行われた。

 主要な段階である聞き取り調査は、random probability法により選ばれた英国全域の2,000人以上を対象に対面形式で実施された。この調査では人口統計学的に重要な項目のデータも収集された。聞き取り調査で得られたデータは、調査対象の様々なサブグループ間での見解の相違やデータ間の関係性を調べることを目的とした分析に使用された。


結果と結論

 聞き取り調査では、最初に食品および食中毒に関する意識についての質問があった。回答者の大多数は、自分たちは食中毒のリスクを適切に制御しているとの認識を持っており、回答者の60%は食中毒のリスクとして最も頻繁に指摘されるのは鶏肉であると認識していた。

 回答者には、食中毒リスクを低減するためにとちく場で実施可能な生肉処理の以下の4つの方法について簡単な説明があった。

  • 急速冷却 - 食肉の表面を極度の低温に曝し、凍らさずに表面を急速に短時間冷却する
  • 乳酸処理 - ヨーグルトなどの食品に存在する天然物である乳酸の希釈溶液を食肉に噴霧する
  • 熱湯または水蒸気処理 - 食肉を熱湯槽に通す、または装置内で水蒸気に曝す
  • オゾン処理 - 食肉をオゾンガスに曝す、またはオゾン水に食肉を浸すかオゾン水を食肉に噴霧する
 調査から、これらの処理方法に対し回答者が示した許容度は様々であった。

  • 乳酸処理およびオゾン処理に対し回答者が最初に示した反応では許容度が非常に低かった(許容はそれぞれ15%および12%)
  • 熱湯/水蒸気処理に対し回答者が最初に示した反応は中立的なものであった(許容は41%、許容不可は40%)
  • 急速冷却処理に対し回答者が最初に示した反応は肯定的なものであった(許容は51%、許容不可は30%)
  • 乳酸処理について追加情報が得られると回答者の許容度は顕著に上昇し、肯定的なレベル(許容が54%)に達した
  • 急速冷却処理について、処理肉は購入後に家庭で安全に冷凍できるとの説明の後は許容度が顕著に上昇した(許容が69%)
 乳酸およびオゾンという用語自体が非常に否定的な反応を招き、英国の消費者の間では許容度が低いと考えられたが、追加情報を提供することで乳酸への否定的反応は軽減されるようであった。

 表面急速冷却と加熱/水蒸気という2つの物理的処理は比較的肯定的に受け止められており、特に急速冷却ではそれが顕著であった。追加情報が提供されると回答者の反応が大きく変化したことから、除染処理について消費者に提供される具体的な情報が消費者の意見に大きく影響する可能性が高いことが示された。

 何らかの除染処理が施された食肉のラベル表示については、回答者の96%が処理済みの食肉はラベル表示すべきであるとした。また最も詳細なラベル表示の方法が望ましいとの結果も得られた。

 この聞き取り調査から、生肉の各種の除染処理に関する消費者の意識について確かな測定値が得られた。また今回の調査により、カンピロバクター症の発生率の低下を目指したFSAの今後の活動に役立つエビデンスを得ることができた。


(関連記事)
Attitudes to treatments surveyed
1 May 2013
http://www.food.gov.uk/news-updates/news/2013/apr/decontamination.survey#.UYGwLZXDVJA



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部