安全性対策
ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(一部抜粋;各スライドをクリックすると拡大します)
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ヒト幹細胞を利用した臨床研究に求められる安全性対策とは
(「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(2010年11月改訂版)より抜粋)
- 採取段階における安全対策
- 調整段階における安全対策
- 移植又は投与段階における安全対策
・提供者の選択基準及び適格性
ヒト幹細胞又はヒト分化細胞の採取に当たっては、提供者の適格性を確認するために、利用の目的に応じて既往歴の確認、診察、検査等に基づく診断を行う。
→ B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、成人T細胞白血病及びパルボウイルスB19感染症などについてのドナースクリーニング
自己由来のヒト幹細胞を用いる場合は必ずしも提供者のスクリーニングを必要としないが、調製工程中での交差汚染の防止、製造者への安全対策等の観点からHBV、 HCV又はHIV等のウイルスに対する検査の実施を考慮すること。
次に掲げるものについては、既往歴の確認、診察、検査等に 基づく診断を行うとともに、輸血又は移植医療を受けた経験の有無等から提供者としての適格性を判断しなければならない。
1)梅毒トレポネーマ、クラミジア、淋菌、結核菌等の細菌による感染症
2)敗血症及びその疑い
3)悪性腫瘍
4)重篤な代謝内分泌疾患
5)膠原病及び血液疾患
6)肝疾患
7)伝達性海綿状脳症及びその疑い並びに認知症
・採取作業の適切性の確保
ヒト幹細胞又はヒト分化細胞の採取に当たっては、採取の過程における微生物等の汚染を防ぐために必要な措置を講じなければならない。 →無菌操作
必要に応じて、微生物等の汚染及び存在に関する適切な検査を行う。
・記録作成・保存
スクリーニング、採取作業、採取された細胞に関する検査などについて記録を作成し保存しておく。
採取されたヒト幹細胞又はヒト分化細胞の一部等の適当な試料について適切な期間保存しなければならない。
・品質管理システム
一貫性のある品質管理システムを構築しなければならない。
ヒト幹細胞等の調製に当たって、各作業に必要な施設及び設備を整える。
ただし最小限の操作を経て直ちに移植又は投与されるような場合等については専用の作業区域を設ける必要はない。
作業区域及び器材について無菌状態であることを確保し、取り違えや微生物汚染の危険性を回避する。
・標準操作手順書の作成
・細胞受け入れ時の確認
・試薬等の受入試験
・最終調製物の試験
1)回収率及び生存率
2)確認試験
3)微生物等による汚染の危険性の排除
4)細胞由来の目的外生理活性物質
5)製造工程由来不純物試験
6)無菌試験及びマイコプラズマ試験
7)エンドトキシン試験
8)ウイルス等の試験
9)効能試験
10)力価試験
11)力学的適合性試験
・微生物等による汚染の危険性の排除
提供者のスクリーニング記録の確認
培地、試薬等の調製工程における汚染防止
調製の各段階における必要性に応じた試験及び検査
不活化及び除去法の導入
・検疫、出荷及び配送
運搬の際には、ヒト幹細胞等の品質を保つために、温度管理その他の必要な措置をとる
・調製工程に関する記録
・最新技術の反映
・ヒト幹細胞等に関する情報管理
提供者のスクリーニング、最終調製物の試験及び検査の結果、 調製番号、ロット番号その他のヒト幹細胞等に関する情報を管理する。
自己細胞以外の同種細胞、又はヒト以外の動物に由来する材料等を使用して共培養(フィーダ細胞との共培養など)を実施する場合においては、その危険性について十分に把握し、 必要に応じてウイルス等の感染因子に対する検査を実施する。
・被験者の試料及び記録等の保存(10年間)
・被験者に関する情報の把握
有害事象が起きた際における情報の把握