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現在までのところ、内分泌系への薬理作用を期待して医薬品として使用されたDES注1)のような例を除き、内分泌かく乱化学物質と疑われる物質によりヒトに有害な影響を受けたと確認された事例ありません。 成人の内分泌系は、恒常性(こうじょうせい)注2)維持機能が完成しており、化学物質による内分泌かく乱作用に対して、抵抗性があります。しかし、内分泌系の未発達な胎児(たいじ)や未熟な幼児、小児ではこの抵抗性が弱い可能性があります。これは、胎児においては、諸器官の形成に異常や遅滞を来すことにより不可逆的(ふかぎゃくてき)な影響が一生残ってしまう可能性にもつながります。このような観点から特に子供に影響があるのではないかと危惧されていますが、明白な影響は現在のところ分かっていません。化学物質の他に、食生活の変動や生活環境の変化等による影響もあり、疫学(えきがく)注3)調査による確認も取れていません。 実験動物を用いた研究等により、胎児や未熟な幼児、小児で起こり得る影響の作用機序の解明を急いでおり、その結果を安全性評価の検討に役立てようとしているところです。 注1)DES: ジエチルスチルベストロールというホルモン剤。1970年代に流産の防止のため医薬品として使用されましたが、服用した妊婦から生まれた子供の思春期に膣がんが多発した等の健康被害が認められたことから現在は使用されていない。 |