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私たちは、様々な天然のホルモンやホルモン様活性をもつ物質にとりかこまれて生活しています。生体内部では絶えず微量のホルモンがからだの様々の機能の調節に役割を果たしています(内因性ホルモン物質)。 体外から意図的に摂取するものには、合成ホルモンのような医薬品があります。また、天然の動物ホルモンや植物が作り出すホルモン様活性物質(植物ホルモン)が食物に含まれ、摂取されています。そして非意図的に摂取しているものには、いま、内分泌かく乱化学物質としての可能性が危惧されているホルモン様活性をもつ化学物質があります。これら外因性の物質は、性質としては(つまり量的な条件を無視すれば)、いずれも内分泌かく乱化学物質となり得るものではあります。屎尿に含まれるような形で環境中に拡散する天然のホルモンも、日常的に食物として摂取する植物ホルモンも、相当大量を摂取すれば、環境生物やヒトの内分泌機構の調節を乱すことがあることが分かっています。しかし、これらの要素が旧来の人々の生活と現代のそれとで大きく変動しているとの指摘はありませんので、内分泌かく乱化学物質問題の焦点とはならないものと考えられます。 世界保健機構・国際化学物質安全計画(IPCS注1))では、内分泌かく乱化学物質を「内分泌系の機能を変化させることにより、健全な生物個体やその子孫、あるいは集団(またはその一部)の健康に有害な影響を及ぼす外因性化学物質または混合物」と定義しています。 注1)IPCS: 1972年の国連環境開発会議に基づき、策定された国際化学物質安全性計画(International Program on Chemical Safety)。世界保健機関(WHO)が中心となり、国連環境計画(UNEP)、国際労働機関(ILO)が参加。化学物質の安全な使用のための人の健康・環境に関するリスク評価の基盤となること、及び化学物質の安全性に関する各国の機能を強化することが主な役割となっている。 |