症状観察用語
 
はじめに

A 外観 - General appearance

B 体位・姿勢 - Posture, Body position

C 意識・態度 - Consciousness, Attitude

D 行動 - Behavior

E 神経系 - Nervous system

F 呼吸 - Breathing

G 心・血管系 - Cardiovascular system

H 体温 - Body temperature

J 被毛 - Fur, Hair, Coat

K 皮膚 - Skin

L 頭部・頚部 - Head and Neck

M 眼・眼球 - Eye, Eyeball, Bulbi, Globe

N 耳 - Ear

P 鼻 - Nose
Q 口 - Mouth

R 腹部 - Abdomen

S 肛門性器部 - Anogenital region

T 排泄 - Excretion

使用用語、コ−ド、適用動物リスト

サブコ−ド(部位、程度等

症状観察法の一例

索引(日本語)

索引(英語)

 

 

 

 

 
はじめに
 
 安全性試験において、化学物質を投与された動物の発現する様々な症状は、化学物質の毒性作用を検索する上で有力な情報となる。近年、安全性試験を行う施設で試験のコンピュータ・システム化が進行しつつあり、体重測定、臓器重量あるいは血液学的、血清生化学的検査等の測定機器を経由した数値情報だけではなく、文字情報として得られる症状観察あるいは病理所見等もデータとして取り込まれ、統計的に処理されるようになってきた。データの蓄積と共に、将来各施設間の毒性情報の相互利用は極めて有用であることから、できるだけ共用し得る用語を用いることが望まれる。従って、この用語集は、実験動物を用いた安全性試験を行う施設で観察された症状の表現法を、各施設間で標準化することを目的としている。
 観察法に関しては、短期の急性毒性試験のように時間を追って観察する場合もあれば、亜急性、慢性毒性試験のように、生死の確認あるいはケージ越しの一般状態の観察を毎日行う場合もある。また、両試験とも、一定の時期あるいは必要に応じて動物をケージから取り出して観察する場合もある。さらに、症状の種類によっては部位、程度、数、サイズ、形状、発現時間、持続時間等の記録を必要とするものもあり、その観察の範囲は広く、方法は様々である。
 このように安全性試験における症状観察は、観察時点における限られた時間での症状を見いだすものである。ここで選択した用語はケージサイド並びにケージから取り出した際に観察される可能性のある症状を表現する用語で、日本語名と英語名を併記した。また、各々の用語には多くの施設で使われているものも同義語として日本語、英語ともに記載した。症状を表現するに当たっては観察者の経験・知識の多少等が問題になり、加えてその用語の選択にも迷うところが多いので出来るだけ平易な表現にまとめ、英語名は比較的多く用いられているものの名詞形を原則として採用することにした。しかしながら、症状の分類法に困難があり、必ずしもそれに沿っていないものもあることに留意されたい。
 用語は一般的な動物の症状観察法を想定し、先ず全体像を見てそれから局部的な観察へと配列されている。症状名の前に記載してあるコード番号は、コンピュータに入力する際に要求される用語の登録番号である。日本語、英語症状名に続いてその症状の状態、発症機構などを用語の解説として付記し、さらに対象動物、サブコ−ドとして症状の部位、程度などの観察の必要項目を記し、別にサブコ−ド表を設けた。尚、コード番号をつけなかった用語については枠囲いで解説した。利用法としては、予備実験から予想された症状を幾つか記載した記入用紙を動物室内に持ち込むか、あるいは動物室内の端末機から入力する際にコードを使用することも一つの方法である。なお、巻末に各動物種毎に症状観察手順の例を付記したが、各施設において定められた手順があれば、ここに示した例に拘る必要はないであろう。
 用語の検索を容易にするために、索引を作成した。この索引は日本語、英語の2部からなり、コードを付した用語(星印)ならびにその同義語いずれからでも、行末に記したコード番号によってその症状の記載箇所を検索できるようにした。また、全ての用語に、それぞれ対応する英語あるいは日本語の用語も併記した。
 用語及び定義は作業グループ委員会の中外製薬(株)開発研究所、(財)食品薬品安全センター、(株)三菱化成安全科学研究所鹿島研究所、(財)動物繁殖研究所、日本ロシュ(株)研究所、山之内製薬(株)安全性研究所及び国立衛生試験所安全性生物試験研究センター毒性部より提供し合った資料を基に、(財)化学品検査協会化学品安全センター、(財)食品農医薬品安全性評価センター、(株)日本セイギケン総合研究所及び日本レダリー(株)生物研究所より提供して戴いた資料を加えて検討した。ここにこの紙面をお借りしてご協力に厚く感謝する次第である。なお、この用語集は厚生省総合化学物質安全性研究費(既存化学物質安全性点検システム)により、平成2〜5年にわたり延べ10回の検討会議の結果、作成されたものである。
 
一般状態デジタル化作業グループ委員会
委員長  黒川 雄二 
      国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センタ−長
 
委員
安達 二朗・(株)CSKリサーチパーク実験動物事業部長