医薬安全科学部 第1室

スタッフ

室       佐井 君江 (さい きみえ、 Kimie Sai)

(帝京平成大学大学院薬学研究科 客員教授)

 

主任研究官    今任 拓也 (いまとう たくや、 Takuya Imatoh)

(帝京平成大学大学院薬学研究科 客員准教授)

 

派遣研究員    望月 淑恵

 

 

業務紹介

1. 医薬品の使用実態調査ならびに安全対策推進のための薬剤疫学的研究

近年の医療情報の電子化政策の進展や病院情報システムの普及を踏まえ、全国の病院施設の電子医療情報データを

用いて、薬剤疫学的手法により、医薬品の使用実態ならびに副作用の検出手法の開発や、その手法を用いた安全対

策への応用に関する研究を行っている。本研究により、未知の副作用の検出やリスク因子の解析、添付文書の改訂

・安全性情報の発出等の行政施策に関する効果の検証など、今後の行政的対策に向けた薬剤疫学的な方法論を確立

し、これにより科学的根拠に立脚した市販後安全対策の推進に貢献することを目指している。これまで、全国の

学病院等との連携で共同研究も進め、現在は厚生労働省/医薬品医療機器総合機構の推進する「医療情報データベー

ス整備基盤事業」の協力医療機関との共同研究も行っている。

 

『共同研究病院施設』

浜松医科大学附属病院、東京大学医学部附属病院香川大学医学部附属病院九州大学医学部附属病院、国立がん

研究センター中央病院、神戸大学医学部附属病院

 

 

『主な研究成果』

Ø  抗がん剤カペシタビンの皮膚症状と有効性との関連を示唆

Ø  重篤副作用(横紋筋融解症、ヘパリン起因性血小板減少症、薬物性肝障害)の検出アルゴリズムの開発ならび

にリスク因子の同定 

Ø  行政施策(オセルタミビルの10代への処方制限、クロピドグレルとオメプラゾールとの併用注意)の臨床現場

における反映・効果を評価 

 

『主な成果発表』

(誌上発表)

1.  Hanatani T, Sai K, Tohkin M, Segawa K, Kimura M, Hori K, Kawakami J, Saito Y. A detection algorithm for drug-induced liver injury in medical information databases using the Japanese diagnostic scale and its comparison to the CIOMS/RUCAM scale. Pharmacoepidemiol. Drug Saf. in press.

2.  Hanatani T, Sai K, Tohkin M, Segawa K, Kimura M, Hori K, Kawakami J, Saito Y. An algorithm for the identification of heparin-induced thrombocytopenia using a medical information database. J Clin Pharm Ther. 2013; 38: 423-428.

3.  Sai K, Hanatani T, Azuma Y, Segawa K, Tohkin M, Omatsu H, Makimoto H, Hirai M, Saito Y. Development of a detection algorithm for statin-induced myopathy using electronic medical records. J Clin Pharm Ther. 2013; 38: 230-235.

4. Azuma Y, Hata K, Sai K, Udagawa R, Hirakawa A, Tohkin M, Ryushima Y, Makino Y, Yokote N, Morikawa N, Fujiwara Y, Saito Y, Yamamoto H. Significant association between hand-foot syndrome and efficacy of capecitabine in patients with metastatic breast cancer. Biol. Pharm. Bull. 2012; 35: 717-724.

 

(学会発表)

1. 花谷忠昭, 佐井君江, 頭金正博, 瀬川勝智, 安コ恭彰, 中島直樹, 横井英人, 大江和彦, 木村通男, 堀雄史, 川上純一, 斎藤嘉朗: 医療情報データベースを用いた行政施策の評価:オセルタミビルの10代使用制限及びクロピドグレルとオメプラゾールの併用注意 19回日本薬剤疫学会学術総会(2013.11

2. 花谷忠昭: 日本のセンチネル・プロジェクトの推進に向けて(研究者の立場から)

3 回レギュラトリーサイエンス学会学術大会(2013.9

3.  Sai, K., Hanatani, T., Azuma, Y., Segawa, K., Tohkin, M., Omatsu, H, Makimoto, H., Hirai, M., Saito, Y.:  A detection algorithm for statin-induced myopathy using electronic medical records.  29 回国際薬剤疫学会(2013.8

4.  Hanatani T, Sai K, Tohkin M, Segawa K, Kimura M, Hori K, Kawakami J, Saito Y.. Development of an algorithm for detecting heparin-induced thrombocytopenia and assessment of the risk factors using a medical information database. 29 回国際薬剤疫学会(2013.8

5. 花谷 忠昭、佐井 君江、頭金 正博、瀬川 勝智、木村 通男、堀 雄史、川上 純一、斎藤 嘉朗:医療情報データベースを用いた薬剤性肝障害検出アルゴリズムの構築:医薬品情報学会(2013.8

6. 佐井君江, 花谷忠昭, 東 雄一郎, 瀬川勝智, 頭金正博, 大松秀明, 槇本博雄, 平井みどり, 斎藤嘉朗:病院情報システムを用いたスタチン製剤による筋障害・横紋筋融解症の検出:日本薬学会第133年会(2013.3

7.  花谷忠昭、佐井君江、頭金正博、瀬川勝智、木村通男、堀雄史、川上純一、斎藤嘉朗: 医療情報データベースを用いたヘパリン起因性血小板減少(HIT)検出アルゴリズムの構築: 18 回日本薬剤疫学会学術総会(2012.11

8. 花谷忠昭、佐井君江、堀雄史、川上純一、木村通男、斎藤嘉朗:医療情報データベースを用いた医療現場における行政施策の反映の確認:第2 回レギュラトリーサイエンス学会学術大会(2012.9

9. 東 雄一郎, 晃二郎, 佐井君江, 宇田川涼子, 頭金正博, 龍島靖明, 牧野好倫, 横手信昭, 藤原康弘, 斎藤嘉朗, 山本弘史: 転移性乳がんのカペシタビン療法による手足症候群発症と治療効果との関連 〜カペシタビンの個別化治療に向けて〜第1回レギュラトリーサイエンス学会学術大会(2011.9

 

 

 

2. 東・東南アジア地域における薬物応答性の民族差に関する研究

医薬品開発を地球規模で進めるにあたり、今後は日本と東及び東南アジア諸国等との共同治験がさらに活発化す

るものと期待される。そのため、欧米諸国に加え、東・東南アジア諸民族と日本人との人種差・民族差は大きな

検討要因であり、その重要な内因性因子である遺伝子多型情報を、医薬品承認審査に活用することが求められて

いる。近年は、全遺伝子の多型データベースなど、膨大な多型情報も蓄積されてきたが、アジア地域における医

薬品開発において、実際に重要となる遺伝子多型の選別・評価には、これらの蓄積された情報の精査・整理が必

要である。そこで、本研究では、東・東南アジア諸民族を中心に、欧米人、アフリカ人を含め、薬物応答性関連

分子(代謝酵素、トランスポーター、免疫応答性分子等)の機能変化をもたらす遺伝子多型頻度を調査し、日本

人との人種差・民族差を明らかとしながら、これらの情報公開を通じて、アジア地域を中心とする国際共同治験

の推進、医薬品開発の効率化に貢献することを目指している。

 

 

『主な研究成果』

これまで7種の薬物代謝酵素(シトクロームP450、抱合酵素等)、5種の薬物トランスポーター(ABCトラン

スポーター、SLCトランスポーター等)、2種の薬物受容体、ならびに4種のHLA分子の多型について、それ

ぞれ主要な機能多型頻度の民族差を調査し、以下の多型について、日本人と東・東南アジア諸民族との間で

一定基準以上の頻度差のあることを明らかとした。今後、日本とアジア諸国を含む国際共同治験を進める上

で、これらの民族差を考慮すべきであることを示すものである。

 

日本人と東・東南アジア諸民族との間で頻度差の見られる機能多型

Ø  代謝酵素:CYP2D6*10, CYP3A5*3, UGT1A1*6, NAT2*7, GSTM1/GSTT1欠損型

Ø  HLA分子:HLA-B*58:01, HLA-A*31:01

 

 

『主な成果発表』

 (論文発表)

1 .  Saito Y, Sai K, Kaniwa N, Tajima Y, Ishikawa M, Nishimaki-Mogami T, Maekawa K. Biomarker exploration and its clinical use. Yakugaku Zasshi. 2013; 133: 1373-1379.

2.  Kurose K, Sugiyama E, Saito Y. Population differences in major functional polymorphisms of pharmacokinetics/pharmacodymamics-related genes in Eastern Asians and Europeans: Implications in the clinical trials for novel drug development. Drug Metab Pharmacokinet. 2012; 27: 9-54.

3.  Sai K, Saito Y. Ethnic differences in the metabolism, toxicology and efficacy of three anticancer drugs.  Expert Opin Drug Metab Toxicol. 2011; 7: 967-988.

 

(学会発表)

1. 斎藤嘉朗,杉山永見子,松澤由美子,阿佐野霞,高松昭司,佐井君江: 遺伝子多型からみた東アジア圏の民族差: 34回日本臨床薬理学会学術総会(2013.12

2. 斎藤嘉朗,杉山永見子,佐井君江,阿佐野霞,高松昭司: アジア人における薬物応答関連遺伝子の機能多型7 種に関する民族差比較: 28回日本薬物動態学会(2013.10

3.  Sai, K., Saito, Y. Ethnic differences in the metabolism and responses (toxicology and efficacy) of anti-cancer drugs based on genetic variations. 2012 AAPS Annual Meeting and Exposition2012.10)

 

 

2014年2月4日更新