Eurosurveillanceのノロウイルス関連情報
http://www.eurosurveillance.org/


遺伝子型GII.4の新しい変異株の出現に関連したノロウイルス活動の上昇(2012年、スコットランド)
Increased Norovirus Activity in Scotland in 2012 Is Associated with the Emergence of a New Norovirus GII.4 Variant
Eurosurveillance, Volume 18, Issue 2, 10 January 2013
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=20349

(食品安全情報2013年2号(2013/01/23)収載)

 スコットランドでは2012年後半からノロウイルスの活動が大幅に上昇し、ノロウイルスのシーズンが通常より早く始まっている。2013年1月3日付のEurosurveillance誌では、いくつかの国でノロウイルス遺伝子型GII.4の新しい変異株(Sydney株)が出現したことが報告されている【食品安全情報(微生物)No.1 / 2013 (2013.01.09)参照】。スコットランドでもこの新しい変異株が出現したかどうかを明らかにするため、病院でのノロウイルス感染アウトブレイクの検体のうち、2012年11月8〜20日にスコットランド西部ウイルス研究センター(WoSSVC:West of Scotland Specialist Virology Centre、グラスゴー)に提出された代表的な検体の調査を行った。この期間は、スコットランド健康保護庁(Health Protection Scotland)が今シーズンとしては初めてノロウイルスの活動の上昇を報告した後の期間である。

 対象期間にWoSSVCが報告したノロウイルス感染アウトブレイクは計13件で、このうち12件はGII、1件はGIによるものであった。検査対象として、GII感染アウトブレイク12件のうち10件のそれぞれから代表的検体を選んだ(リアルタイムPCR法でのCt値が低かったことから残り2件のGIIアウトブレイクの検体は除外した)。検査法はオープンリーディングフレーム(ORF)2遺伝子を標的とするものであった。

 検査の結果、調査したアウトブレイク10件のうち9件で、ORF2の配列がSydney GII.4株(Hu/GII.4/Sydney/NSW0514/2012/AU)と99.5%以上相同の株が原因株であった。残りのアウトブレイク1件の原因株はGII.7株であった。WoSSVCが把握する限り、スコットランドでこのSydney変異株が報告されたのは今回が初めてである。

 世界各地で発生するノロウイルス感染アウトブレイクのほとんどは、遺伝子群II遺伝子型4(GII.4)の系列に属する変異株が原因である。他の系列のノロウイルスと異なり、この系列に属するノロウイルスはインフルエンザウイルスと同様の抗原連続変異(急速な複製と集団免疫による選択との組み合わせが原因となる)を起こし、このため新しいパンデミック変異株が選択される。ノロウイルスGII.4の新規パンデミック変異株は2〜3年ごとに出現し、それらは患者数の増加に関連することが多い。たとえば、2002年(Farmington Hills株)、2004年(Hunter株)、2006年(2006a/2006b株)、2007年(2006b株)、および2010年(New Orleans株)にパンデミック変異株が出現した。2010年以降、スコットランドをはじめ世界各国で優勢となっているGII.4変異株はNew Orleans株である。

 GII.4の新しい変異株の出現はノロウイルス活動の上昇と関連することが多いため、本報告に記載されたデータから、このような変異株の出現が2012年のノロウイルス活動の上昇の理由であると考えられる。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部