欧州食品安全機関(EFSA)からのノロウイルス関連情報
http://www.efsa.europa.eu/


欧州食品安全機関(EFSA)の2011年次報告書
Annual Report 2011
Published: 9 July 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/corporate/doc/ars11en.pdf(報告書要旨PDF)
http://www.efsa.europa.eu/en/corporate/doc/ar11en.pdf(報告書PDF)
http://www.efsa.europa.eu/en/corporate/pub/ar11.htm

【紹介記事】
EFSA in 2011: high-quality science, core strategic developments, crisis response
9 July 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/120709.htm

(食品安全情報2012年16号(2012/08/08)収載)

 欧州食品安全機関(EFSA)は2011年次報告書を発表した。報告書の要旨のうち食品微生物に関連する部分を一部紹介する。

 EFSAは2011年に658報の科学的報告書を発表した(表)。注目に値する科学的助言として、EFSAは、甘味料アスパルテームの安全性、ビスフェノールA(BPA)の安全性、動物の輸送時の健康保護、欧州連合(EU)域内の食肉検査の近代化、カキのノロウイルス汚染などに関して科学的意見を発表した。また、遺伝子組み換え植物の環境リスク評価について、過去のガイダンスを更新した。

 ドイツおよびフランスで志賀毒素産生性大腸菌(STEC)アウトブレイクが発生した際に、EFSAの危機対応手順が全体にわたって実際に試験された。5月から7月にかけてEFSAは欧州疾病予防管理センター(ECDC)と緊密に協力し、可能性の高い感染源と感染予防の方法について助言を提供した。また、科学専門スタッフをドイツに派遣しデータ収集および疫学解析に協力したが、これは危機発生時にEFSAが加盟国に科学者を派遣した初めての例であった。欧州委員会(EC)の緊急要請を受け、EFSAは感染源の疑いのある種子をEU域内の供給・流通チェーンに沿って追跡するタスクフォースを結成した。このタスクフォースは、加盟国およびECの専門家、ECDC、世界保健機関(WHO)および国連食糧農業機関(FAO)の科学者などから構成され、エジプトから輸入されスプラウトの栽培に使用されたフェヌグリーク種子の1ロットがフランス、ドイツ両国のアウトブレイクに関連している可能性が高いと結論した。アウトブレイクのあらゆる局面において、EFSAのAdvisory Forumおよび連携拠点ネットワーク(Focal Point network)を介して加盟国との協力および情報交換を行った。

 この大腸菌アウトブレイクにより、EFSAに付託されたリスクコミュニケーション機能の重要性と、各国および欧州レベルでリスク管理者とリスク評価者の間のコミュニケーションを調整することの有用性が指摘された。EFSAの「コミュニケーション戦略2010〜2013年」は2010年に採択され、2011年も引き続き実行に移された。リスクコミュニケーションにおいて種々の基本テーマ別に内容を整理するというこの戦略に沿って、担当部局(directorate)は、人獣共通感染症の分野におけるEFSAの活動を支持するいくつかの重要な報告書を発表した。
2011年のハイライト(微生物関連の抜粋)

1月 ・ECDCと共同で、動物の伝達性海綿状脳症(TSE)とヒトのTSEとの関連に関する科学的エビデンスをレビュー
3月 ・人獣共通感染症についてECDCとの共同報告書を発表
4月 ・鶏のカンピロバクター汚染低減に関する提言を発表
5月 ・ドイツの大腸菌(STEC)アウトブレイクへの対応を開始
6月 ・ドイツおよびフランスの大腸菌(STEC)アウトブレイクについて、公衆衛生に関する提言を発表し、迅速リスク評価を実施
7月 ・ヒト、動物および食品中の人獣共通感染症細菌の抗菌剤耐性についてECDCとの共同報告書を発表
   ・大腸菌(STEC)アウトブレイクに関するタスクフォースの報告書を発表し、消費者保護のための追加の提言を作成
8月 ・食品および食料生産動物中の、一部の抗菌剤に耐性の菌株の公衆衛生リスクを評価
10月 ・食肉検査に関する大規模調査研究の第一段階を完了
   ・ドイツおよびフランスの大腸菌(STEC)アウトブレイクを受け、スプラウトの喫食に関する消費者向けの助言を更新
11月 ・種子および発芽した種子の公衆衛生リスクの評価に関する科学的意見を発表


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部