欧州食品安全機関(EFSA)からのノロウイルス関連情報
http://www.efsa.europa.eu/


カキのノロウイルス汚染に関する対策案の評価
EFSA assesses control options for norovirus in oysters
17 January 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/120117.htm

【報告書】
カキのノロウイルスに関する科学的意見:検出方法、許容限界値および管理対策
Scientific Opinion on Norovirus (NoV) in oysters: methods, limits and control options
EFSA Journal 2012;10(1):2500 [39 pp.].
Published: 17 January 2012, Adopted: 8 December 2011
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/120709.htm

http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/120709.htm

(食品安全情報2012年2号(2012/01/25)収載)

 欧州食品安全機関(EFSA)のBIOHAZパネル(生物学的ハザードに関する科学パネル)は、カキのノロウイルスのリスク評価を行った結果、カキのノロウイルスから消費者を守る最も効果的な公衆衛生上の対策は、汚染されていない水域のカキを採捕すること、または生産水域の汚染を防ぐことであると結論した。貝からノロウイルスを除去する現在の技術は、汚染を低減するには十分ではないとしている。

 パネルは、ノロウイルスの感染力は非常に強く、また患者の発生に関連したカキから検出されるウイルスの量には大きな差があると結論した。パネルの科学者達は、二枚貝に関するEUの現行の管理基準を満たしている欧州のカキから、頻繁にノロウイルスが検出されていると強調している。

 EFSAは、カキからのノロウイルスの検出法および管理対策を検討した。検討内容は、他の貝類にすでに適用されている手法(PCR法)をカキからのノロウイルスの検出および定量に使用できるか、消費者へのリスクとなる可能性が低い汚染レベルを決定できるか、採捕後(post-harvest)の管理対策として何が可能かについてである。パネルは、適切な精度管理が行われていれば、PCR法はカキからのノロウイルスの検出および定量への利用が可能であるとした。

 パネルは、貝類からノロウイルスを除去するために現在使用されている方法は改善が必要であるとしている。パネルは、食品由来ウイルスに関するこれまでの推奨に従い、カキのノロウイルス低減対策としては、汚染食品からウイルスを除去することよりも、まず生産水域の汚染を防ぐことに力を注ぐべきであると提言している。

 リスク管理者は、EUで採捕され、EUの市場に出荷されるカキについてノロウイルスの許容限界値(acceptable limit)の設定を検討する必要があるとしている。全般的な微生物基準(microbiological criteria)の作成は許容限界値の設定を促し、また、分析法、サンプリング計画、基準を満たさない場合の対応を決定する。こうした基準は、HACCPの原則の遵守状況の検証、さらには採捕水域および加工・小売段階での追加の管理対策としても利用できる。

 また、消費者の暴露の全体像を評価するため、カキのノロウイルス汚染に関するEU規模のベースライン調査の実施を推奨している。この調査による情報は、いままで行われてきた管理対策の公衆衛生への効果を評価することにも利用可能であるとしている。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部