鳥インフルエンザウイルスと食品に関するWHOからのお知らせ


WHO- 鳥インフルエンザウイルスの食品安全に関連した問題
WHO- Food Safety Issues, November 2005
(要訳:食品安全情報2005年23号(2005/11/09)収載)

 適切に加熱調理された食品からはH5N1 鳥インフルエンザウイルスの感染は起きない。このウイルスは熱に感受性であり、通常の調理で用いる加熱温度(食品の全ての部分が70℃に達する)で死滅する。調理前に食品がウイルスを含んでいた場合でも、適切に調理された家禽及びその製品の摂食によりヒトがH5N1 ウイルスに感染した証拠は現時点では存在しない。標準的な予防対策として、WHO は家禽及び家禽肉は優良衛生規範に従い調理し、食鳥肉は適切に加熱することを推奨しており、これにより不適切な加熱により感染する一般的な食中毒菌からも消費者を守ることになる。

 ほとんどの鳥インフルエンザ株は感染鳥の呼吸器官及び消化器官でのみ確認されており、肉からは検出されていない。H5N1 を含む高病原性ウイルスは感染鳥の全部位へ拡散することが各研究により確認されていることから、家禽においてH5N1 鳥インフルエンザアウトブレイクが起きている地域では、調理の準備段階における家禽や家禽製品の適切な取り扱い及びそれらの適切な調理が非常に重要であると同時に、生の家禽と摂食前に加熱しない食材との交差汚染のリスクを認識する必要がある。

 生の家禽及びその製品からの肉汁は調理準備段階で、生で摂食する食材と絶対に触れさせたり、混入させたりしてはいけない。生の家禽や生の家禽製品を扱う際には、準備に関わったヒトは手をよく洗い、家禽製品に接触した表面は洗浄及び消毒すべきである。この際に使用するのは石鹸と熱水で充分である。

 アウトブレイク発生国では適切な加熱が必須であり、消費者は家禽の全ての部位にピンクの部分がないようによく加熱し、また卵も黄身が固まるまで加熱すべきである。

 H5N1ウイルスは低温では少なくとも1 ヶ月は生存可能であるため、冷蔵や冷凍といった通常の食品保存では汚染された肉のウイルス濃度を低減、もしくは死滅させることは出来ない。アウトブレイク発生国では冷蔵または冷凍保存された家禽の取り扱いは、生鮮家禽と同様の注意が必要となる。

 アウトブレイク発生国の卵では卵殻の外側及び内側の両方にウイルスが存在している可能性がある。それらの地域からの卵を生や半熟で食べるべきではない。また生卵はウイルスを死滅させる温度(70℃)まで加熱しない食品に使用すべきではない。

 ヒトにおけるH5N1 ウイルス感染の多くは感染もしくは死亡鳥の家庭での調理前の不適切なとさつ及びその後の取り扱いが原因となっており、最もヒトへの感染リスクが高い部分であり、避けることが最も重要である。家禽およびその製品の適切な取り扱いと加熱調理によりヒトへの感染リスクを下げることが可能である。

http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/foodrisk2005_11_03/en/index.html