欧州食品安全機関(EFSA)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
http://www.efsa.europa.eu/


コロナウイルス:食品が感染源や伝播経路になることを示すエビデンスは存在しない
Coronavirus: no evidence that food is a source or transmission route
9 March 2020
https://www.efsa.europa.eu/en/news/coronavirus-no-evidence-food-source-or-transmission-route

(食品安全情報2020年6号(2020/03/18)収載)


 欧州食品安全機関(EFSA)は、世界中の多くの国々に被害をもたらしているコロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクに関する動向を注意深く監視している。現時点では、食品がこのウイルスの感染源または伝播経路となる可能性があることを示すエビデンスは存在しない。

 EFSAのHugas主任研究員によると、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)や中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)など、コロナウイルス関連の過去のアウトブレイクから得られた知見では、食品の喫食を介した感染は起こっていないことが示されており、現時点では、新型コロナウイルスがこの点で異なることを示唆するエビデンスは存在しない。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、今回のアウトブレイクでは中国の動物が最初の感染源であった可能性が高いが、このウイルスは、主としてヒトのくしゃみ・咳・吐息などによって排出された呼吸飛沫を介してヒトからヒトへと伝播する。コロナウイルスと食品に関する詳細情報は、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が作成したQ&A集(以下Webページ)から入手できる(食品安全情報(微生物)No.4 / 2020(2020.02.19)BfR記事参照)。
https://www.bfr.bund.de/en/can_the_new_type_of_coronavirus_be_transmitted_via_food_and_toys_-244090.html

 世界中の研究者および関連機関がこの新型コロナウイルスの拡散を監視しているが、食品を介した伝播は報告されていない。このため、EFSAは現時点ではCOVID-19アウトブレイクへの対応には関与していない。しかしながら、新しい関連情報を得るため研究報告等のモニタリングを行っている。

 食品安全上の観点から、世界保健機関(WHO)は、食品の取り扱いおよび調理の際の、手指の洗浄、食肉の十分な加熱、加熱済み食品と未加熱の食品との交差汚染の防止などの適切な衛生慣行の実践についての助言を含めた予防措置に関する推奨事項を発表している。詳細情報はWHOの以下のWebページから入手可能である。
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019


EFSA本部で実施されている感染リスク低減対策
 EFSAの本部があるイタリア北部のパルマは、現在、イタリア政府が発動した緊急の移動制限措置の対象地域に含まれている。2020年2月の最終週までに、EFSAはイタリア当局からの助言を踏まえていくつかの対策を講じてきた。

 EFSAでは、大多数の職員の在宅勤務および専門家や関連機関との遠隔会議が導入されており、イベントおよびEFSAの施設内への業務上の訪問や一般公開は少なくとも2020年4月8日まで停止される。これらの措置については新たな情報を考慮しながら継続的に見直しが行われていく。

 欧州連合(EU)加盟各国および欧州委員会(EC)が対策活動で使用するアウトブレイク関連情報およびリスク評価については、ECDCが更新を継続する。WHOは国際的な取り組みを調整している。

 COVID-19に関する詳細情報はECの以下のWebページから入手可能である。
https://ec.europa.eu/health/coronavirus_en



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部