環境保健クライテリア 161
Environmental Health Criteria 161

フェノール Phenol

(原著151頁,1994年発行)

更新日: 1997年1月7日
1. 物質の同定、物理的・化学的特性、分析方法
2. ヒトおよび環境の暴露源
3. 環境中の移動・分布・変質
4. 環境中の濃度およびヒトの暴露
5. 体内動態および代謝
6. 実験用哺乳類およびin vitro試験系への影響
7. ヒトへの影響
8. 環境中の生物への影響
9. 評価の要約
10. 今後の研究
11. 国際機関によるこれまでの評価

→目 次




1.物質の同定、物理的・化学的特性、分析方法

a 物質の同定
 化学式	C6H6O
 化学構造

3次元の化学構造の図の利用
図の枠内でマウスの左ボタンをクリック → 分子の向きを回転、拡大縮小 右ボタンをクリック → 3次元化学構造の表示変更

 分子量 94.11  一般名 phenol  その他の名称 acidum carbolicum, acidum phenolicum,   acidum phenylicum, benzaphenol,   benzene phenol, benzenol carbolic acid,   hydroxybenzene(IUPAC),oxybenzene,   monohydroxybenzene, monophenol,   phenic acid, phenol alcohol, phenyl hydrate,   phenyl hydroxide, phenylic acid  商品名 carbololie(NLD),fenololie(NLD),kristalliertes Kreosot(GER),   Steinkohlenkreosot(GER),Steinkohlenteerkreosot(GER),   venzenol(FRA),ENT 1814.  CAS登録番号 108-95-2  CAS化学名 phenol b 物理的・化学的特性 表 フェノールの物理的・化学的特性a  沸点(101.3 Pa) 181.75℃  融点 43℃    (高純度) 40.9℃  密度(20°/4°)b 1.071  蒸気密度(空気=1) 3.24  蒸気圧(20℃) 0.357 mmHg     (50℃) 2.48 mmHg     (100℃) 41.3 mmHg  大気中飽和濃度(20℃) 0.77 g/m3  水溶解性(16℃) 67 g/lc  n−オクタノール/水分配係数 1.46 d   (log Pow)  水中解離定数(20℃) 1.28 ×10 -10   (Ka)  引火点(密閉式) 80℃     (解放式) 79℃   85℃e  可燃限界 1.3〜9.5 % a:Kirk-Othmer(1980);RIVM(1986)より b:Weast(1987) c:フェノールは約68.4℃では,完全に水と混ざりあう d:フェノールのPowはpHに非常に依存する;   log Pow = 1.46におけるpHは与えられなかった e:Budavari et al.(1989)      ────────────────────────  フェノールは、43℃で溶解し、水との接触により液化する白色の結晶の固体である。 それは特徴的な強い臭気と灼けるような味をもっている。それは大多数の有機溶剤に 溶解し、水中におけるその溶解性は室温によって限定され、68℃以上では完全に水溶 性である。フェノールは室温において、軽度の蒸発性を示す。それは弱酸性で、イオ ン化されたかたちでは、求電子置換反応および酸化に極めて鋭敏である。  フェノールは、NaOH溶液あるいは固体吸着剤への吸収により環境中サンプルから 採集される。脱着は、酸性化、蒸気蒸留、エーテル抽出(溶液より)、熱あるいは液 体脱(固体吸着剤より)により達成される。最も重要な分析技術は、フレームイオン 化/電子捕獲検出装置との組み合わせによるガスクロマトグラフィーおよび紫外線 検出装置との組み合わせによる高速液体クロマトグラフィーである。空気中での最低 検出限界は0.1μg/m3 と報告されている。フェノールは血液中および尿中におい ても測定可能であり、尿サンプル中の検出限界は0.5 μg/lと報じられている。


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2.ヒトおよび環境の暴露源  フェノールは、コールタールの構成要素であり、有機物質の自然分解の過程で生成 される。しかし環境中に存在するフェノールの大部分は、人為的な発生源からのもの である。フェノールとその製品の製造と使用、とくにフェノール樹脂とカプロラクタ ム、排出ガス、住居木材の焼却、タバコの煙は潜在的な発生源である。その他の潜在 的な発生源としては、液体肥料中のフェノールの存在も、その大気中濃度に相当に寄 与するが、光線の影響下ではベンゼンの大気中での分解物である。ベンゼンとフェノ ールの誘導体は、in vivo(生体内)の転化により、ヒトのフェノールによる内因性の 暴露源を生成する。  世界のフェノールの生産量は1980年代を通してかなり一定で、米国は最も重要な 生産国である。その主要な用途は、フェノール樹脂、ビスフェノールA、カプロラク タムの原材料である。一部の医学用・薬学用の利用も知られている。
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3.環境中の移動・分布・変質  フェノールは主として大気に排出される。大気中におけるフェノールの大部分は、 光化学反応により、推定半減期が4〜5時間のジヒドロキシベンゼン類、ニトロフェ ノール類、環分裂生成物に分解される。その少量は湿性降下物(雨)により空気中か ら消失する。フェノールの土壌中での移動性は高いと予想されるが、その移動と反応 性はpHにより影響されるであろう。  水中および土壌中のフェノールは、非生物的反応および微生物作用により多数の化 合物に分解され、そのうち最も重要なのは二酸化炭素とメタンである。フェノールの 分解全体に対する生分解の割合は、濃度、環境順化(acclimation)、温度、その他 の化合物の存在などの多くの因子により決定される。
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4.環境中濃度およびヒトの暴露  大気中フェノールの濃度について利用し得るデータはない。バックグラウンド濃度 は1ng/m3 以下と予想される。都市部および準都市部での濃度は0.1〜8μg/m 3 の範囲を変化し、一方、発生源に近い産業地域では2桁以上高い、と報じられて いる。フェノールは、雨水および表層水の中で検出されてきたが、そのデータは少な い。フェノールの濃度の上昇は、工業汚染による堆積物および地下水で報告されてい る。  フェノールの職業暴露は、フェノールおよびその製品の製造、フェノール樹脂の利 用(木工・鉄鋼産業)、多数の産業活動の過程でおこる。その最高濃度(88mg/m3) は、旧ソ連において、フェノール含有の水によるコークス冷却時の作業従事者に対す る暴露、と報じられている。その他の大多数の報告濃度は19 mg/m3 を越えてい ない。  一般集団に対しては、空気を介しての暴露以外では、喫煙および燻製食品がフェノ ール暴露の最も重要な発生源である。フェノールは不快な臭気や味があるため、多く の場合には消費者に受け入れられず、飲料水および不注意のために汚染された食料品 の経路による暴露は少ないであろう。
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5.体内動態および代謝  フェノールは暴露のすべての経路により容易に吸収される。吸収後はすべての組織 に速やかに移行する。  吸収されたフェノールは、主としてグルクロン酸および硫酸と結合し、一部はヒド ロキシル化されカテコールおよびヒドロキノンとなる。また、リン酸塩結合も起こる ことが知られており、反応性の代謝産物(4,4−ビフェニルおよびジフェノキノン) が、活性化ヒト好中球および白血球により生成されることがin vitro(試験管内)の 試験により立証されている。  グルクロニドおよび硫酸塩結合物の相対的な量は、用量と動物種により変わる。ラ ットにおける硫酸塩生成作用からグルクロニド生成作用への転換は、フェノールの用 量の増加により観察された。  肝臓、肺、胃腸の粘膜はフェノール代謝の最も重要な部位である。これらの組織に より演じられるそれぞれの役割は投与の経路および用量に依存する。  in vivo(生体内)およびin vitroの試験により、フェノールの組織および血漿蛋白 との共有結合が立証された。尿中への排泄は、動物およびヒトにおけるフェノール除 去の主要な経路である。尿中排泄の比率は、用量、投与経路、動物種により変わる。 その少量は糞および呼気中に排泄される。
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6.実験用哺乳類および   in vitro(試験管内)試験系への影響  フェノールは、哺乳類に対して中等度の急性毒性をもっている。齧歯類における経 口LD50(50%致死量)は300〜600 mg/ kg体重の範囲である。ラットおよびウサギ に対する経皮LD50はそれぞれ670および1,400mg/kg体重であり、ラットにおける 吸入による8時間のLC50(50%致死濃度)は900mg/m3以上である。急性暴露後 の臨床症状は、神経筋肉系の過剰興奮および激しい痙攣、皮膚および咽喉粘膜の壊死、 肺・神経線維・腎臓・肝臓への影響、光線に対する瞳孔反応である。  フェノール溶液は皮膚および眼に腐食性を示す。フェノール蒸気は呼吸器官を刺激 する。フェノールには皮膚を感作(訳者注:過敏状態の誘発)する作用はない、との 証拠がある。  短期動物研究において報告されている最も重要な影響は、神経毒性、肝臓および腎 臓の傷害、呼吸器への影響、成長の遅滞である。ラットの腎臓への毒性作用は、 40mg/kg体重/日以上の経口用量レベルで起こると報告されている。ラットの肝臓へ の毒性は、少なくとも100mg/kg体重/日の投与において明らかである。ラットによ る14日間の限定された研究では、腎臓への作用に基づいて、経口投与による「無有 害影響量」(no-obsbrved-adverse-effects level:NOAEL)は、12mg/kg体重/日と 報告されている。この実験において、瞳孔縮小(光線に対する眼球の虹彩の反応)は、 4mg/kg/日においても、なお阻害を示したが、この知見の健康への意義は明らかで はない。また、1mg/kg/日以下の用量レベルにおいて、マウスの腸粘膜および腎臓 にある種の生物学的変化が報告されているが、この知見の毒性学的の意義は不明確で ある。  フェノールの生殖毒性についての適切な研究はない。ラットおよびマウスを用いた 試験においては、フェノールは発生毒性物質(developmental toxicant)と確認され てきた。複数用量による2件のラットの研究において、NOAELは40mg/kg/日[最 小有害影響量(the lowest-observed-adverse-effect level: LOAEL)/日は53 mg/kg ] および60 mg/kg(LOAELは120 mg/kg)と報告されている。マウスにおけるNOAEL は140mg/kg/日(LOAELは280 mg/kg/日)であった。  細菌を用いた変異原性試験の大多数は陰性の結果を示した。哺乳類細胞のin   vitro(試験管内)試験において、突然変異、染色体傷害、DNAへの作用が認められ た。フェノールは、哺乳類培養細胞において、細胞間コミュニケーション(代謝協同 作用として測定される)への影響を示さなかった。一部の研究ではマウスの骨髄細胞 小核の誘発が認められた。より少量を用いたマウスの研究では小核は観察されなかっ た。  飲料水にフェノールを溶解して投与した2件の発がん性研究が、オス・メスのラッ トおよびマウスにより実施された。悪性腫瘍(例えば、C細胞甲状腺がん、白血病) は低用量のオスのラットのみに認められた。適切な経皮および吸入による発がん性試 験は実施されていない。2段階発がん性試験では、マウスの皮膚への反復適用によ り、フェノールはプロモーション作用を示した。
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7.ヒトへの影響  フェノールの経皮、経口、静脈注射によるヒトへの暴露では、広範囲の悪影響が報 告されている。経口摂取後には胃腸への刺激の報告がある。皮膚暴露後の局所の影響 は、無痛の漂白作用または紅疹から腐食や深部の壊死までの範囲に及んでいる。全身 的影響には、心臓律動不整、代謝性酸性症、過度呼吸、呼吸困難、急性腎不全、腎臓 障害、黒ずんだ尿、メトヘモグロビン血症、神経系への影響(痙攣を含む)、心臓血 管系ショック、昏睡、死亡を含んでいる。経口摂取によるヒトの死亡の最低の用量は 4.8gで、死亡は10分間以内に起こった。  フェノール蒸気の吸入による中毒はずっと以前から認められているが、この暴露経 路による死亡のケースは報告されていない。フェノールの吸入に伴う症状には、食欲 不振、体重減少、頭痛、目まい、流涎、暗色尿が含まれる。  フェノールは感作〓物質ではない。  フェノールに対するヒトの臭気閾値は、空気中で0.021〜20mg/m3 と報告され ている。フェノールの臭気閾値は7.9mg/l水、味覚閾値は0.3mg/l水と報じられてい る。ヒトに対するフェノールの発がん性については、適切なデータは入手できない。
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8.環境中の生物への影響  単一の細菌種における研究で、成長阻害のEC50(50%有効濃度)の数値は244〜 1,600mgフェノール/lの範囲が見出されている。毒性閾値(toxicity threshold)は 64mg/lが認められている。原生動物および真菌への数値は、細菌への強さと同程度 であり藻類の場合は多少低い。  フェノールの毒性は、淡水生物類に対してはより高い。甲殻類および魚類に対する 最低のLC50あるいはEC50の数値は、3〜7mg/lの間である。海洋生物類に対す る急性毒性のデータは、淡水生物類と同等である。甲殻類および魚類についての長期 研究では、感受性に著しい相違が認められ、ニジマス属およびフナ属の胚−幼生期テ ストよりのLC1 値(1%致死濃度)(それぞれ0.2および2μgフェノール/l) は、他の魚種[NOLC(no-observed lethal concentration)(致死性の認められぬ濃 度)は2.2〜6.1mg/l]および両生類よりも、また甲殻類の繁殖試験よりも大幅に低い。 海洋生物類の長期試験からのデータは入手できない。  フェノールの各種のタイプの水生生物における生物濃縮係数は、一部に高い数値 (2,200まで)も報告されているが、一般的には極めて低い(1〜10以下)。従って、 フェノールには著しい生物濃縮は予期されない。  フェノールの陸生生物における運命(fate)と影響について入手し得るデータは極 めて少ない。アワ(植物)に対する120時間のEC50は120〜170mg/l、またミミズ 類に対する接触テストにおけるLC50は2.4〜10.6μg/cm2が見出されている。
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9.評価の要約  9.1 ヒトの健康  一般集団は、フェノールには主として吸入により暴露される。また、燻製食品ある いは飲料水の摂取による経口暴露が報告されている。  一般集団の暴露を決定するためにはデータが不適切であるが、1日当りの摂取量の 上限の予測は可能である。「最悪の場合のシナリオ」に基づき、高度に汚染された空 気の継続的吸入、燻製食品の頻繁な摂取、味覚閾値までのフェノールを含む飲料水を 通じて、個人の最大暴露量が予測し得る。フェノールの1日当り最大摂取予測総量は、 70kgの体重の人で1日当り0.1mg/kg体重と算出された。  NOAELの最低値は、腎臓についての動物実験と発育への影響において確認され、 ラットでは1日当り12〜40mg/kg体重の範囲であった。不確定性係数(uncertainty factor)200を用い、1日当り総摂取量(total daily intake: TDI)の上限としては 60〜200μg/kg体重の範囲が勧告される。ヒトの1日当りの摂取予測量の100μg/kg 体重を考慮に入れると、平均的な一般集団に対するすべての発生源からのフェノール の暴露は、この勧告値の範囲以下である。  フェノールには遺伝毒性を示す若干の証拠があり、発がん性を割り引くには不十分 なデータしかない点が懸念される理由である。その評価は定期的なレビューを受けな ければならない。  9.2  環 境  フェノールは、著しい生物濃縮をしないと考えられる。フェノールは水生生物類に 毒性を示し、US  EPA修正法を用いて決定した環境中の警戒濃度(concern level) は0.02μg/lである。植物および陸生生物についての適切なデータは欠如している。  フェノールの環境各媒体間の移動は、主として湿性蓄積と土壌を通じての洗脱に より起こる。一般的には、本化合物は環境中に持続的には存在しないようである。暴 露データが少ないため、フェノールの陸生および水生生態系へのリスクは評価できな い。しかしながら、水環境で経験した警戒濃度を考慮すると、フェノールで汚染され た表層水および海水中の水生生物類にリスクをもたらす、と推定するのは合理的であ る。
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10.今後の研究  次に挙げる項目について、今後研究する必要性がある。  (a)フェノールのin vivo(生体内)の遺伝毒性について、さらに研究する。  (b)90日間の経口および吸入試験、吸入経路による発がん性生物試験、神経毒 性および数代にわたる生殖毒性試験を含む動物毒性試験を追加実施する。  (c)環境および職業的暴露のアセスメントを実施し、職業集団における健康影響 を評価する。  (d)用量−期間−影響の関連性、可逆性・持続性、フェノール誘発の光線に対す る瞳孔反応阻害の健康上の意義について、さらに評価する。  (e)植物および陸生生物類に対するフェノールの毒性データをさらに研究する。
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11.国際機関によるこれまでの評価  フェノールの発がん性については、国際がん研究機関(Internatoional Agency for  Research on Cancer)により1989年に評価された(IARC,1989)。IARCモノグラ フから評価の要約をここに再掲する。  暴 露  フェノールは、フェノール樹脂、ビスフェノールA、カプロラクタム、クロロフェ ノール類、数種のアルキルフェノール類、キシレノール類製造の原材料である。フェ ノールは殺菌剤および防腐剤としても用いられる。フェノールの職業暴露は、その製 造および使用、木工業でのフェノール樹脂の使用において報告されている。それは、 自動車排気ガスおよびタバコの煙からも検出されている。  発がん性実験データ  フェノールは、マウスおよびラット各1系統を用い、飲料水中の経口投与により発 がん性が試験された。マウスおよびメスのラットにおいては、投与に関連した腫瘍の 発生は認められなかった。オスのラットでは、低用量において白血病の発生増加が観 察されたが、高用量では見られなかった。フェノールは二段階マウス皮膚モデルにお いて広く試験された結果、プロモーション作用を示した。  ヒトの発がん性データ  多数の木工業における1件の症例対照研究では、フェノール暴露に関連する口腔 および呼吸器官の腫瘍増加のリスクが認められたが、症例数が少なく、混在する他の 物質の暴露は適切にコントロールされていなかった。  その他の関連データ  ヒトにおいては、フェノール中毒は経皮吸収、蒸気の吸入、摂取の後に起こり得る。 急性の局所の影響は強度の組織刺激および壊死である。高用量では、最も顕著な全身 的影響は中枢神経系の阻害である。フェノールは、刺激、皮膚炎、中枢神経作用、肝 臓・腎臓毒性を発生させる。  フェノールは、メスのマウスにおいては小核を、ヒト培養細胞においては姉妹染色 分体交換を誘発する。それは細胞間コミュニケーションの阻害を示さず、動物の培養 細胞において突然変異を誘発したが、DNAへの損傷は見られなかった。また、それ はショウジョウバエにおいて劣性致死性突然変異を誘発せず、コウジカビ菌 (Aspergillus nidulans)において有糸分裂分離を誘発する弱い作用がある。フェノ ールは細菌において突然変異を誘発することはない。  評 価  フェノールのヒトにおける発がん性についての証拠は不十分である。  フェノールの実験動物における発がん性についての証拠は不十分である。  総合評価  フェノールは、ヒトに対する発がん物質には分類できない(グループ3)。
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Last Updated :10 August 2000
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