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クロロピクリン

 

概要

クロロピクリン(クロルピクリン)は、油状の液体で刺激臭がある。揮発性があり、また蒸気密度が5.7で低いところにたまりやすい。催涙作用及び肺への刺激作用があり、吸入した場合に最も強い毒性作用を呈する。

土壌くん蒸剤、穀類倉庫くん蒸剤等として用いられる。土壌消毒のため畑に使用したクロロピクリンが漏れて付近の住民等が被害を受けたり、クロロピクリン輸送中の車両事故により漏れて被害を生じるなどの事例がみられる。

クロロピクリンは、毒物劇物取締法で劇物に指定されている。また化学兵器禁止条約で表3剤(民生用に大量生産される毒性化学物質)、すなわち化学兵器禁止法(国内法)では第二種指定物質として規定されている。

 

 

1.名称  クロロピクリン

    別名:クロルピクリン,トリクロロニトロメタン,ニトロクロロホルム

Chloropicrin, Trichloronitromethane, Nitrochloroform, Nitrotrichloromethane

 

2.物質の特定

化学式:CCl3NO2

分子量:164.4

CAS番号:76-06-2

 

3.主な用途

  土壌くん蒸剤、穀類倉庫くん蒸剤、有機合成・染料原料

 

4.物理/化学的性質

外観:わずかに油状の無色または微黄色の液体 

臭い:刺激臭

沸点:112

融点:−64

比重: 1.65 (25 / 4)

水への溶解度:0.162 g/100 ml (25) ; 0.19 g/ 100 ml (20) ; 0.227 g/100 ml (0)

相対蒸気密度(空気=1)5.7

蒸気圧:2.7 kPa (20); 3.2 kPa (25);

log Pow (オクタノール/水分配係数)2.1

 

5.毒性情報の概要 (ICSC, , HSDB, Meditext, Hazardtext) 

     目、皮膚、呼吸器系や消化器系の粘膜を重度に刺激する。

     暴露経路:吸入、経口摂取、皮膚や眼への局所刺激

     蒸気は眼、粘膜、上部気道を強く刺激する。眼に対しては、催涙ガス様の作用を有する。

     二次感染、気管支肺炎、閉塞性細気管支炎により時間を経てから死亡することもある。

     クロロピクリンは気管や大きな気管支に比べ細気管支などより小さい気管支により多くの損傷を与える。

     重症の場合、肺水腫を引き起こすことがある(致死的な場合がある)。肺水腫は遅れて生じることがある。

     ヒトが吸入すると、2000mg/m32 mg/L/10分で致死的である。

 

急性暴露

     吸入:咳、鼻や喉の発赤や腫れ、流涙、吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、呼吸困難、肺水腫、重篤な場合は死亡。

     経口:喉の痛み、嘔吐、口・食道・胃の熱傷、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、めまい、呼吸困難。

     眼が液体に暴露した場合、重症の角膜および結膜損傷

 

 

[参考資料]

1) International Chemical Safety Card (ICSC), ICSC 0750 (Trichloronitromethane)

及びICSC日本語版(国立医薬品食品衛生研究所、http://www.nihs.go.jp/ICSC/

2) Hazard Substance Data Bank (HSDB), US National Library of Medicine (NLM).

 http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/htmlgen?HSDB

3) HAZARDTEXT(R): Hazard Management, TomesPlus (Micromedex)

4) MEDITEXT(R): Medical Management, TomesPlus (Micromedex)