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塩素(塩素ガス)

 

概要

塩素は、強い刺激臭のある黄緑色の気体である。塩素ガスの主な暴露経路は吸入である。塩素ガスは空気より重く、低いところに滞留しやすい。眼、皮膚、鼻、喉、粘膜に強い刺激性を示す。圧縮液化ガスに触れると、凍傷や眼・皮膚の化学熱傷を生じることがある。

家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)と酸性洗剤(トイレ用酸性洗浄剤など)を混ぜると塩素ガスが発生し、危険である。

塩素は、毒物劇物取締法で劇物に指定されている。第一次世界大戦では塩素ガスが化学兵器として用いられた。

 

 

1.名称  塩素 Chlorine

 

2.物質の特定

化学式:Cl2

分子量:70.9

CAS番号:7782-50-5

 

3.主な用途

 各種化合物の製造原料、漂白剤や殺菌剤成分である次亜塩素酸ナトリウムの製造原料、パルプや紙の漂白、飲料水、プール水、各種廃水の殺菌など。 

 

4.物理/化学的性質

外観:黄〜緑色の気体(常温常圧において) 

臭い:刺激臭

沸点:−34

融点:−101

相対蒸気密度(空気=1)2.5

蒸気圧:673 kPa (20)

溶解性:水にはわずかにしか溶解しないが、水分と接触すると、次亜塩素酸(HClO

と塩酸(HCl)を生成する。

反応性:強力な酸化剤で、多くの有機化合物、活性金属、還元剤等と激しく反応する。

 

5.毒性情報の概要 (ICSC, , HSDB, Meditext, Hazardtext) 

     目、皮膚、鼻、喉、粘膜を重度に刺激する。

     主たる暴露経路:吸入

     空気中の塩素ガス濃度
1
3ppm:軽度の刺激
3
6 ppm:流涙、眼瞼けいれん、鼻や喉の灼熱感、くしゃみ、咳、痰
5
10 ppm:上部気道に中程度の刺激
10
20ppm:強い刺激
30 ppm
:胸痛、嘔吐、呼吸困難、咳
50 ppm
以上では肺炎を起こすことがある。

     重症の場合、肺水腫を引き起こすことがある(致死的な場合がある)。肺水腫は遅れて生じることがある。

     430 ppm/30分あるいは3451ppm/60分で致死的、1000 ppmの場合、数呼吸で致死的である。

 

 [参考資料]

1) International Chemical Safety Card (ICSC), ICSC 0126 (Chlorine)及び

ICSC日本語版(国立医薬品食品衛生研究所、http://www.nihs.go.jp/ICSC/

2) Hazard Substance Data Bank (HSDB), US National Library of Medicine (NLM).

  http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/htmlgen?HSDB

3) HAZARDTEXT(R): Hazard Management, TomesPlus (Micromedex)

4) MEDITEXT(R): Medical Management, TomesPlus (Micromedex)

5) Medical Management Guidelines (MMGs) for Acute Chemical Exposures,

  ATSDR(Agency for Toxic Substances and Disease Registry)

 http://www.atsdr.cdc.gov/MHMI/mmg.html