1 アダムサイト
1−1 物理的化学的性質
1−2 毒性および症状
2 ジフェニルクロロアルシン
2−1 物理的化学的性質
2−2 毒性および症状
3 ジフェニルシアノアルシン
3−1 物理的化学的性質
3−2 毒性および症状
国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部嘔吐剤(Vomiting agents)
嘔吐剤は上部気道や眼を強く刺激し、催涙効果も示すが、激しい制御不能のくしゃみ、咳、吐き気、嘔吐、不快感を引き起こす。固体で、使用時はエアロゾルとして拡散させ、吸入もしくは眼への直接作用によって効果が生じる。主な物質としては、アダムサイト(DM)、ジフェニルクロロアルシン(DA)、ジフェニルシアノアルシン(DC)がある。これらはくしゃみ剤としても分類される。
アダムサイトは最初第一次世界大戦中に製造された。皮膚への刺激性はなく呼吸器系への影響が主なものである。暴露後数分たってから効果が現れ、数時間続く。ジフェニルシアノアルシン(DC)はジフェニルクロロアルシン(DA)より毒性が強い。
Adamsite
Diphenylaminechlorarsine
10-Chloro-5,10-dihydroarsacridine
10-Chloro-5,10-dihydrophenarsazine
5-Aza-10-arsenaanthracene chloride
コード名: DM
CAS 番号:578-94-9
分子量:277.6
化学式:C6H4(NH)(AsCl)C6H4; C12H9AsClN
性状:淡黄色〜緑色の固体
臭気:無臭、刺激臭。
融点:195℃
沸点:410℃(分解)
比重/密度:1.68 g/ml (25℃)
蒸気密度:9.6(空気=1)
蒸気圧:ほとんどない
揮発性:ほとんどない
溶解性:水および有機溶媒にほとんど不溶。
作用を及ぼす速さ:速い。
持久性/一時性: 一時性(エアロゾルの場合)
暴露経路:吸入、経口摂取、皮膚や眼への局所刺激
通常の使用濃度では、作用は他の暴動鎮圧剤と似ているが、皮膚に対する刺激性は少ない。高濃度では、嘔吐、全身の倦怠感を生じる。
アダムサイト暴露による症状の発現には数分かかる。このため、被害者は最初、暴露に気が付かない。
症状は、眼および粘膜刺激。くしゃみと咳、粘った鼻汁、激しい頭痛、胸部の急性の痛みと圧迫感、吐き気、嘔吐。中程度の濃度では作用は数十分続き、高濃度では長時間続くことがある。
Diphenylchloroarsine
Diphenylarsinous chloride
コード名: DA
CAS 番号:712-48-1
分子量:264.5
化学式:(C6H5)2AsCl
性状:無色の固体
臭気:無臭
融点:39-44℃
沸点:383℃(分解)
比重/密度:1.4
蒸気密度: 9.1(空気=1)
蒸気圧:0.018 mmHg (50℃)
揮発性:236 mg/m3 (50℃)
溶解性:水に不溶。有機溶媒に可溶。
作用を及ぼす速さ:速い。
持久性/一時性: 一時性(エアロゾルの場合)
暴露経路:吸入、経口摂取、皮膚や眼への局所刺激
通常の使用濃度では、効果は暴露がやんだ後も約30分間続く。高濃度の場合は効果が数時間持続する。
症状は、眼や粘膜の刺激、鼻汁。くしゃみ、咳、頭痛、胸部圧迫感、吐き気、不快感。
Diphenylcyanoarsine
コード名: DC
CAS 番号:23525-22-6
分子量:255.0
化学式:(C6H5)2AsCN
性状:無色固体
臭気:ニンニクと苦みのあるアーモンドの臭い
融点: 31.2℃
沸点: 341℃(分解)
比重/密度:1.3
蒸気密度: 8.8(空気=1)
蒸気圧:0.0007 mmHg (35℃)
揮発性:9.56 mg/m3 (35℃)
溶解性:水に不溶。有機溶媒に可溶。
作用を及ぼす速さ:速い。
持久性/一時性: 一時性(エアロゾルの場合)
暴露経路:吸入、経口摂取、皮膚や眼への局所刺激
ジフェニルクロロアルシン(DA)より毒性が強い。通常の使用濃度では、効果は暴露がやんだ後も約30分間続く。高濃度の場合は効果が数時間持続する。
症状は、眼や粘膜の刺激、鼻汁。くしゃみ、咳、頭痛、胸部圧迫感、吐き気、不快感。
【ご利用にあたっての注意】