1 シアン化物の物理的化学的性質
(1) シアン化水素
(2) 塩化シアン
2 毒性および症状
(1) 作用機序および毒性
暴露経路:
塩化シアン、臭化シアンは体内に吸収された後シアン化水素を生成する。症状はシアン化水素とほぼ同様であるが、それに加えて暴露した部位を局所的に刺激する。塩化シアンの蒸気は空気より重く、眼および粘膜を強く刺激する。激しい刺激臭があり、催涙作用がある。
(2) 徴候、症状
【ご利用にあたっての注意】
国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部シアン化物 (Cyanides)、血液剤(Blood Agents)
このカテゴリーは、資料によって、血液剤 (Blood Agents) と記載されているものやシアン化物として記載されているものがある。また、血液剤としての分類の中にアルシン(ヒ化水素)を入れているものもある。
化学剤として使用されるシアン化物の主なものはシアン化水素とハロゲン化シアンである。ハロゲン化シアンには、塩化シアン、臭化シアン、ヨウ化シアン等があるが、このうち最も重要なものは塩化シアンであり、その他のハロゲン化シアンの使用はきわめて限られている。
シアン化水素や塩化シアンは非常に揮発性が高く拡散しやすいため、屋外では化学剤として十分な毒性効果を発揮する濃度にはなりにくい。
青酸
Hydrogen cyanide
Hydrocyanic acid
コード名: AC
CAS 番号:74-90-8
分子量:27.0
化学式:HCN
性状: 無色で揮発性の高い液体、または気体。
臭気:苦味のあるアーモンドの臭い。
融点:-13.3℃
沸点:25.5℃
比重/密度:0.68 g/mL (25℃、液体)
蒸気密度:0.93(空気=1)
蒸気圧:746 mmHg (25℃)
揮発性:1,080,000 mg/m3 (25℃)
溶解性:水及び通常の有機溶媒と混和する。
作用を及ぼす速さ:速い。
持久性/一時性: 一時性。
Cyanogen chloride
Chlorocyanide
コード名: CK
CAS 番号:506-77-4
分子量:61.5
化学式:CNCl
性状:無色で揮発性の高い液体、もしくは気体
臭気:強い刺激性と流涙作用のため臭いは感知できない。
融点: -6.9℃
沸点: 12.8℃
比重/密度:1.2 (10℃、液体)
蒸気密度: 2.1(空気=1)
蒸気圧: 680 mmHg (10℃)
揮発性:2,370,000 mg/m3 (10℃)
溶解性:水に溶ける。通常の有機溶媒に溶ける。
作用を及ぼす速さ:速い。
持久性/一時性: 一時性。
シアン化物の毒性は、主にシアンイオン(CN-)による細胞内呼吸阻害作用である(チトクロームオキシダーゼと結合して細胞レベルでの酸素利用を阻害)。ハロゲン化シアンの毒性はシアノ基(-CN)によるものであり、したがってシアン化物はどの化合物も同じような毒性を有するが、ハロゲン部分は呼吸器系等への刺激性がある。
シアン化水素:吸入、皮膚吸収(液体、蒸気)、経口摂取
塩化シアン: 吸入、皮膚吸収(液体)、経口摂取、皮膚や眼への局所刺激
シアン化水素の毒性:
暴露経路は一般に吸入である。液体の場合は皮膚から速やかに吸収される。
高濃度暴露の場合、数秒で自分で呼吸ができなくなる。20〜30秒で激しい痙攣が起こり、1分以内に呼吸が停止する。数分で心不全が起こる。低濃度の暴露における初期症状は、脚の脱力感、めまい、吐き気、頭痛である。このあとに痙攣や昏睡が生じることがあり、これは暴露時間によって数時間〜数日続くことがある。軽症の場合は、頭痛、めまい、吐き気が数時間続いた後に完全回復する。
低濃度暴露:
速い呼吸、めまい、脱力感、頭痛、吐き気、嘔吐、頻脈
高濃度暴露:
痙攣、血圧低下、心拍数減少、意識喪失、肺障害、呼吸不全〜死亡