Q9.内分泌かく乱化学物質が原因でヒトの精子が減少していると聞きましたが本当でしょうか?
Answer
  代表的な事例として、1950 年代から 1980 年代に至る期間、成人男子の精子数の減少、精巣腫瘍、陰嚢下裂といった奇形の増加の報告があります。また、デンマークにおける最近の61件の研究を取り扱った Carlsen et al の精子数と精子量の研究でも 50% におよぶ減少が示唆されたとの報告もありますが、その一方で、フィンランド人では20年間にわたる調査でそうした減少は観察されなかったとの報告もあります。さらに、20年間にわたる米国の調査では、精子数の減少は見られず、大きな地域差が観察されたとの報告があります。
 精子数の調査結果については、精液所見が病的あるいは生理的な様々な因子によって変動しうることや、精子数の試験方法について色々な技術的問題が指摘されていることから、男性不妊を専門とするような泌尿器科医からも疑問が投げかけられているのが現状です。
 このため、内分泌かく乱化学物質との因果関係は現在のところ、分かっていません。
 現在デンマーク、フィンランド、スコットランド、フランス、日本等で、国際的に統一した試験法で各国間の比較を行う国際共同研究を実施しているところです。
 

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