Q6.どのような物質が内分泌かく乱化学物質と言われているのですか?
Answer
  ホルモン様作用の強さを調べる試験法はいくつか知られています。そして、いくつかの化学物質ではこうした実験レベルでホルモン様作用が検出されることが分かっています。それらは、ホルモン様作用以外の毒性を同時に持っている物質や、ホルモン様作用以外にはほとんど作用の無い物質まで様々です。ホルモン様作用の強さも様々ですが、体内で作られているホルモンと比べると検出される作用自体は弱いものが大半です。
 ホルモン様作用を有する物質の例としては、医薬品のDES注1)等の合成ホルモン剤、DDT注2)等の有機塩素系の殺虫剤、PCB注3)やダイオキシン類、合成洗剤や殺虫剤として使用されているアルキルフェノール類、ポリ塩化ビニルの可塑剤(かそざい)注4)等に使用されるフタル酸エステル類、漁網や船底に使用されていたトリブチルスズ、植物性エストロゲン注5)等が挙げられます。
 一方、これらにどの程度有害な内分泌かく乱作用があるかどうかを見極める試験法は現在開発中です。

注1)DES: ジエチルスチルベストロールというホルモン剤。1970年代に流産の防止のため医薬品として使用されましたが、服用した妊婦から生まれた子供の思春期に膣がんが多発した等の健康被害が認められたことから現在は使用されていない。
注2) DDT: クロルフェノタンという殺虫剤。戦後農薬や害虫駆除剤として使用されたが、その毒性や残留性が長いことから、本邦では1971年に使用が禁止された。
注3)PCB: ポリ塩化ビフェニルという化学物質。耐熱性が優れているため、耐熱絶縁剤や熱媒体として1950年代から使用されたがその毒性や残留性のため1972年に製造が禁止された。
注4)可塑剤: 柔軟性を増し形成加工を容易にする添加剤
注5)エストロゲン: 卵巣の卵胞で作られるホルモンの一種で、思春期発来、二次成長発達、生殖(せいしょく)機能(きのう)や骨代謝維持に不可欠な物質。

 

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