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体内の細胞(さいぼう)群の中には、タンパク質、ポリペプチド注1)、アミン、脂質(ししつ)等を産生し、これを分泌(ぶんぴつ)顆粒(かりゅう)注2)という状態で細胞質の中に持っている細胞が多数存在します。細胞がその分泌顆粒内の生産物を細胞外へ排出することを分泌といい、分泌経路により、外(がい)分泌(ぶんぴつ)注3)と内分泌があります。 内分泌とは、細胞からの分泌物が毛細血管から循環血液中に入り、標的臓器に運ばれ、標的器官の機能を刺激してスイッチオンの状態にすることです。このように外界のどことも通じていない循環血液中という体内に分泌されるので「内分泌=エンドクリン」と呼ばれます。 内分泌腺(ないぶんぴつせん)から血中に分泌されて他の臓器・組織・細胞に作用する物質をホルモンと言います。ホルモンの原義は、「呼び覚ます」という意味のギリシャ語で 1902 年 W.M.Bayliss と E.H.Starling により命名されました。 さて、ホルモン様作用を有する化学物質が存在することは古くから知られていましたが、生体内の内分泌系の単なる変動(modulation)と、かく乱(disruption)を明確に区別することは現在では必ずしも容易ではないとの認識にたって、ホルモン作用を有する化学物質のうち、生体内で障害あるいは有害な影響を引き起こすものを「内分泌かく乱化学物質」ととらえようとしているわけです。
注1)ペプチド結合によってアミノ酸2個以上が結合した化合物をペプチドという。アミノ酸の数にしたがって2個のものをジペプチド、3個のものをトリペプチド、さらに多数のアミノ酸から成るものをポリペプチドという。 |