平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

高分子素材からなる生活関連製品由来の内分泌かく乱化学物質の分析および動態解析

フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類の分析と動態

主任研究者 中澤裕之 星薬科大学教授    
研究協力者 牧野恒久 東海大学教授     

研究要旨

食品の安全性確保の観点から、食品中のフタル酸エステル類等の濃度を把握することは、これら化学物質のリスク評価を行う上で重要であると考えられる。しかし、これら可塑剤、特にフタル酸エステル類は使用量が多く、常に実験室を含む測定環境中に多く存在するため、精度の高い微量分析を困難としている。そこで本研究では、試料の抽出、クリーンナップに精油定量装置を応用した閉鎖系の蒸留システムにより、操作ブランク値の低減化と再現性について検討した。
水をMilli-Q純粋製造装置(Millipore社製)で製造した後、8時間以上、精油定量装置で加熱還流を行い、フタル酸エステル類を含む共存物質をトルエンで捕集・除去することで、操作ブランクを低減することが可能であった。氷菓に、可塑剤の各標準溶液を25ppb、100ppb濃度で添加し、回収試験を行ったところ、絶対検量線法では45.6〜179.0%と大きくばらついたが、内標準法を採用することで90.2〜118.3%と良好な結果を得た。以上のように本法は抽出及びタリーナップ操作が閉鎖系で行われることで、外部からの汚染を極力抑えた微量分析が可能であり、氷菓、清涼飲料水など、共存物質が少ないと思われる試料の分析には十分適用できることが期待される。

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