平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

内分泌かく乱化学物質の人の健康影響に関する免学的研究

分担研究者  津金 昌一郎 (国立がんセンター研究所支所 臨床免疫学研究部長)

研究要旨

  内分泌かく乱化学物質(EDC)と健康影響の関連を検証する疫学研究 をデザインするための基礎的情報を得るために、人への暴露とその要因(暴露源)に関する検討、人の健康影響評価のためのバイオマーカーの開発、人の健康影響に 関するエビデンスの検討を行った。一般地域住民の48時間尿中のビスフェノールA(BPA)排泄量は平均(標準偏差)83(54)μgであり、21〜245mgの範囲に広く分布していた。ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BPADGE)の職業曝露者と対照者の尿中BPAの平均濃度はそれぞれ41, 61ng/mgクレアチニンであり、両者に有意な差はみられずBPADGEに暴露しても代謝の過程でBPAにならないことが認められた。コークス炉工場の多環芳香族炭化水素(PAH)暴露者において末梢血白血球 のCYP1B1のmRNA発現量を比較したところ、PAH暴露との関連はみられなかったが、 喫煙群で上昇がみられ、タバコ煙中のダイオキシン類似化学物質の曝露指標となる可能性が示唆された。PCBとがんに関する文献レビューを行った結果、いくつかの部位においてリスク上昇の可能性が示唆された。そして、子宮内膜症とEDCとの関連を検証するための症例対照研究のプロトコールを作成し、倫理審査を受け、症例収集の準備を終了した。

戻る

内分泌かく乱物質ホームページに戻る
平成11年度 厚生科学研究報告書のページにもどる