平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

食品中内分泌かく乱物質等の甲状腺発がん修飾作用に関する研究

総括研究者  西川 秋佳 (国立医薬品食品衛生研究所病理部室長)

研究要旨

大豆摂取とヨード欠乏によるラット甲状腺発がんの機序について検討した結果、 大豆粉末の過剰摂取はヨード欠乏と特異的に相乗作用してラットの甲状腺を増殖させること、フェノバルビタールや スルフアジメトキシンなど他の甲状腺腫瘍プロモーターとの相乗効果を示さないこと、ヨード欠乏との相乗作用は20%を 超える高濃度でのみ発現することおよび大豆イソフラボン自体にはヨード欠乏との顕著な甲堺腺増殖作用がないことを明らかにした。 また、食品中に存在する天然および合成の内分泌かく乱物質としてgenisteinおよびnonylphenolを取り上げ、同一条件により 諸臓器の発がんに及ほす影響を検討する本研究班全体のプロジェクトの一環として、甲状腺における発がん修飾作用を検討した。
DHPN誘発ラット2段階甲状腺発がんモデルのポストイニシエーション期に、gesteinおよびnonylphenolを250ppmと25ppmの 二段階の用量で混餌投与した結果、両物質ともに甲状腺発がん過程に影響を及ぽさなかった。同様に、大豆イソフラボンを0.2% および0.04%の用量で混餌投与した結果、甲状腺発がん過程への影響はなかった。以上の成績は、食品中に存在する濃度レベルの 大豆イソフラボン、genisteinおよびnonylphenolは甲状腺発がん促進作用を有さないことを示唆する。

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