平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

内分泌かく乱物質による精巣内ホルモン環境、精子形成能、受精能に関する研究

分担研究者  小林 真一 (聖マリアンナ医科大学 教授)
研究協力者  田中 政巳 (聖マリアンナ医科大学 講師)

研究要旨

   ビスフェノールA母体経由暴露による周産期および成熟雄の血清テストステロン濃度、ステロイド代謝酵素、ゴナドトロピン受容体等への影響について検討した。ラットあるいはマウスに、ビスフェノールA0.2,2.20および200µg/mlを妊娠1日より出生後21日(離乳時)まで母体に、さらに離乳後の仔に飲水投与した。ビスフェノールA 2µg/ml投与母体の妊娠19日における血清ビスフェノールA濃度は30ng/mlであった。ビスフェノールA 20µg/ml投与ラットの妊娠19日胎仔精巣におけるステロイド代謝酵素とLH受容体のmRNAの発現は対照と差はなかった。またビスフェノールA 0.2および20µg/mlを離乳時まで投与したマウスの出生10週における血清中テストステロン濃度と精巣、前立腺、貯精嚢および凝固腺重量は対照と有意な差はなく、20µg/ml群の出生10週の精巣におけるステロイド代謝酵素、LH受容体およびインヒビンのmRNAの発現は対照と差はなかった。一方200µg/ml投与ラット出生日の血清テストステロン濃度が低下したことから高用量のビスフェノールAは性分化や生殖器系の発達・分化に重要な周産期の内分泌環境を撹乱する可能性が示された。

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