平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

総括研究報告書

内分泌かく乱化学物質等、生活環境中化学物質による人の健康影響につての試験法に関する調査研究

総括研究者  今井 清 ((財)食品薬品安全センター秦野研究所)

研究要旨

 本研究班は、内分泌かく乱化学物質の諸問題の中で、特にヒト健康への影 響を検討するための試験法の開発を中心とした研究を推進することが主な目的である が、3年計画の2年目にあたる本年度は、<試験法の開発部門>、<内分泌かく乱化 学物質の健康影響に関する調査研究部門>のほか、国際的な研究協力の一環として、 新たに<OECD対応等試験法開発部門>を設け、3分野にわけて研究を行った。 <試験法開発部門>では、カテゴリー別に、試験管内と個体レベルの一般試験(井上・ 菅野、永井、武吉、塚田、西原)、薬理・代謝(大野、鈴木)、生殖・発生(長尾・今 井、渡辺)、生殖機能(川島)、発癌性(白井、広瀬)などについて、研究を継続した。 <OECD対応等試験法開発部門>おいては、前年度の補正予算により実施したOECD 対応試験研究の結果、新たに浮上してきた基礎的科学的問題のうち、それらの解決を 計らなければ今後の内分泌かく乱化学物質の試験研究課題の本質的解決が困難となる 事柄について、重点的に研究を展開した。具体的には、OECDが中心となって世界的 な規模で実施しているprevalidationに参加して、子宮肥大試験、Hershberger試験 の適用およびOECDガイドライン407(28日間反復投与)試験法の適用における問題 点を検討した(鈴木、吉村愼、金子、広瀬)。さらに、昨年度からの特別推進研究課 題の発展段階として、内分泌かく乱化学物質の計算探索と評価(板井)、および3D- QSARに関する実験解析的研究(菅野)を展開し、コンピュータースクリーニングに よりエストロジェン受容体との結合が想定されたフラボン・イソフラボン化合物を絞 り込み、in vitro試験を実施し、新たに弱いながら活性を有する11物質が見出された。 また、<内分泌かく乱化学物質健康影響に関する調査研究部門>において、毒性情報 (長谷川)、化学物質情報(神沼、関沢)等の集積をした。また、研究成果のデータベ ース化と社会への還元を目標に、長村、菅野がこの問題に関する出版計画を立てて、 具体案を作成して執筆者の選定を行い、執筆を依頼した(長村、菅野、井上)。

戻る

内分泌かく乱物質ホームページに戻る
平成11年度 厚生科学研究報告書のページにもどる