平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

甲状腺腫瘍に対する内分泌かく乱物質の影響に関する研究

分担研究者  広瀬 雅雄 (国立医薬品食品衛生研究所病理部部長)

研究要旨

 雌F344ラットを卵巣摘出し、一週後にdiisopropanolnitrosamine(DHPN)によりイニ シエーション処置し、1週後からサルファジメトキシン(SDM)を8週間混餌投与した。その後、0.5 ないし0mgのエストラジオール・ベンゾエート(EB)を皮下に4週間毎に埋植し、25週後に殺処分 した。両群で過形成腺腫、癌が認められDHPN/SDM/EB群での腺腫の発生頻度・発生個数と 癌のPCNA陽性率はDHPN/SDM群に比し有意に増加した。雌F344ラットを卵巣摘出(OVOX)し、3 週間ヨード欠乏食(ID)を投与した後、50ないし0r/sのメチルニトロソ尿素(MNU)を一回静脈 内投与した。その後、0.5ないし0rのエストラジオール・ベンゾエート(EB)を4週間に1回の頻度 で皮下埋植し、26週後に殺処分した。病理組織学的には、ID/MNU/EB群に甲状腺の濾胞上皮ののう胞 状過形成、腺腫と癌が、MNU/EB群で過形成と腺腫が誘発されたが、ID/MNU/EB群の過形成が有意に増 加した。その他の群ではこれらの病変は誘発されなかった。

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