平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

内分泌かく乱化学物質による抗原提示細胞分化、機能への影響の解析

分担研究者  松島 綱治 (東京大学大学院医学系研究社会医学専攻衛生学教授)

研究要旨

 内分泌撹乱化学物質が免疫系におよばす影響、特に樹状細胞を標的とした考察を加え るに当たり、その前段階として、生理的状態でのヒト単球由来樹状細胞、マウス骨髄造 血前駆細胞由来樹状細胞の生物学的及び免疫学的特徴を検討した。ヒト単球由来樹状細 胞ではSAGE法によりMHCクラスU関連の遺伝子が発現の上位を占めた。また樹状細 胞への分化に伴って発現上昇する遺伝子にTARCがあり、この細胞がアレルギー性疾患 のような、Th2優位の免疫学的疾患発症に大きく関与する可能性が示唆された。マウス 骨髄造血前駆細胞由来樹状細胞は分化誘導後6日目に異なる表現型を持つCD11b-/dull CD11c+及びCD11b+/highCD11c+の未熟樹状細胞に分化し、ヒト造血前駆細胞からの 分化パターンと類似していた。しかし、TGF-βの存在下では先述の2つの細胞群への分 化は抑制され、マクロファージ様細胞へ選択的に分化した。この細胞はGM-CSFとTNF-α との再培養下5日目でランゲルハンス様細胞へ分化し、骨髄前駆細胞から樹状細胞へ分 化する第三の経路であると想定された。また未熟、成熱樹状細胞両者ともCCR7が発現 し、SLCによる走化遊走活性を有する機能的受容体であると思われた。

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