平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

総括研究報告書

内分泌かく乱物質の小児、成人等の汚染実態および暴露に関する調査研究

主任研究者  奏 順一 (慶應義塾大学医学部病理学教室 教授)

研究要旨

日本人の各種臓器における内分泌かく乱物質の暴露状況を把握し、特定の疾患や病態と蓄積の 相関関係を得るための基礎データとすることを目的とし、インフォームドコンセントのもとに、 剖検症例の主要臓器、血液、胆汁を採取し、内分泌かく乱物質(PCB、ダイオキシン類、 有機塩素系化合物と総スズ(有機体+無機体)、ブチルスズ3化合物)を測定した。同一症例における 血液、肝、胆汁における内分泌かく乱物質の濃度をが測定したところ、血液と胆汁での濃度が よく相関し、さらに肝では脂肪重量あたりの濃度が血液、胆汁よりも高い傾向が明らかとなった。 この知見はヒトにおける内分泌かく乱物質の代謝経路について重要な示唆を与えるものである。 またPCBの体内蓄積量は、ダイオキシン類より数桁多く、PCB自体の直接的な人体への毒性だけでなく、 ダイオキシン類等他の内分泌かく乱物質の人体への複合的な毒性を考える必要性が明らかとなった。

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