平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

総括研究報告書

内分泌かく乱物質の水道水中の挙動と対策等に関する研究

主任研究者  国包 章一 (国立公衆衛生員水道工学部 部長)

研究要旨

内分泌かく乱作用の疑いのある化学物質のうちフタル酸ジ-2-エチ ルヘキシル、フタル酸ジ-n-ブチル、ビスフェノールA及びノニルフェノール の4物質と農薬類を主に取り上げ、その水道水中における挙動と対策等に関す る3ヶ年計画の研究に着手した。浄水処理過程における挙動及び除去対策に関 しては、浄水場2箇所の実験プラントを用いて浄水処理実験を各2回行い、フ タル酸類等の4物質が浄水処理によってよく除去されることを確認した。また、 日本国内で使用されている農薬のうち、内分泌かく乱化学作用の疑いのある 農薬は22種であることを明らかにした。水道用資機材からの溶出特性及び溶 出防止対策に関しては、浄水場に2系統の配水管連続通水実験設備を設置し、 配水管7種からのフタル酸類等4物質の溶出量の経時変化を調べる実験を開始 した。この結果、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの溶出量は通水開始1ヶ月後 にむしろ増加するが、その他の3物質については減少することが認められた。 また、水道用エポキシ樹脂塗料の組成やその構成モノマーの毒性等に関する 情報を整理した。水道水等の内分泌かく乱作用の評価に関しては、蛍光偏光 度法酵母Two-Hybrid System法及びMVLVアッセイ法につき基礎的検討を 行うとともに、これらの試験法を用いて浄水処理過程におけるエストロゲン 様活性の変化等につき検討した。さらに、ピスフェノールAを塩素処理する と、その蛍光偏光度法によるエストロゲン様活性が増加することを明らかに するとともに、その塩素処理生成物につきGC/MS法及び分子軌道法を用いて 検討した。

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