平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

環境中ホルモン様物質の胎児・胎盤特異的遺伝子発現への影響に関する研究

分担研究者  塩田 邦郎 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 細胞生物学)

研究要旨

  妊娠母体に取り込まれた環境物質は、まずはじめに胎盤を構成する胎児由来細胞である栄養膜細胞に作用すると考えられる。核内受容体およびオーファン受容体を介した環境中ホルモン様物質の内分泌かく乱作用機序を解析する基礎を確立する目的で、胎盤における核内受容体の発現様式とその機能を解析した。核内受容体の異常な活性化が胎盤形成に及ぼす影響を見るために、まず、すでにその核内受容体が胎盤で発現していることが報告されているレチノイン酸(RA)の、in vivoおよびin vitroでの影響を解析したところ、RA投与によって栄養膜巨細胞の分化が促進された一方で、海綿状栄養膜細胞の分化阻害が確認された。この結果は、RA受容体を活性化あるいは不活性化する環境物質が妊娠母体に取り込まれた場合に、胎盤形成に異常が現れる可能性を示唆する。以上の結果に加え、ベンゾピレンやダイオキシンの生体内受容体であるとされるAhRの培養栄養膜幹細胞における発現を、RT-PCRにより解析すると同時に、そのcDNAのクローニングを行い、報告にない新規のAhRアイソフォームを同定した。

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