平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

ヒト尿・血液中のベンゾ[α]ピレン及びその代謝物の分析法開発

分担研究者  中澤 裕之 (星薬科大学)
研究協力者  早川 和一 (金沢大学)

研究要旨

  ベンゾ[α]ピレン(BaP)の代謝物として知られ、内分泌撹乱作用の疑われるモノヒドロキシベンゾ[a]ピレン(OH-BaP)の12異性体の分離・分析法を開発した。アルキルアミド型逆相カラム(Discovery RP-Amide-C16)により1-,3-,7-,12-OH-BaPを除く8種類のOH-BaPを分離し、分離が不十分な1-,3-,7-,12-OH-BaPをカラムスイッチングによりODSカラム(COSMOSIL 5C18AR)に導入して7-及び12-OH-BaPを同定した。さらに分離が不十分な1-及び3-OH-BaPをβ-シクロデキストリン固定化カラム(LiChroCart 250-4Chiradex)に導入することで12種すべてを分離できた。この分析システムをBaPのCYP1A1処理液に適用したところ、1-,3-,9-OH-BaPの生成が確認された。また、健常人の尿中から代謝物として、1-,3-OH-BaPを同定し、尿中に排泄されるOH-BaPは主としてエストロゲンレセプターに対してビスフェノールAに匹敵する結合能を有する3-OH-BaPであることが明らかとなった。

戻る

内分泌かく乱物質ホームページに戻る
平成11年度 厚生科学研究報告書のページにもどる