平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

ビスフェノールAの高感度分析法の開発と生体への応用に関する研究

分担研究者  中澤 裕之 (星薬科大学)

研究要旨

  ビスフェノールA(BPA)には、内分泌系をかく乱する可能性があると指摘されており、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂等を用いた食品用容器や金属缶からの溶出が報告されている。従って、食品や生活環境などからBPAがヒトへ暴露される可能性も十分に考えられる。しかし生体内では極めて微量で存在するBPAの高感度かつ迅速な分析法の開発が要求されている。今回、前処理に固相抽出法、検出にはガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)を用いた高感度分析法を開発し、ヒト血清等の生体試料へ応用した。BPA検出方法として、BPAを臭化ペンタフロロベンジル(PFBBr)によりアルキル化して、ペンタフロロベンジル-ビスフェノールA(PFB-BPA)に誘導体化した。これを生体成分に対して影響が少ないGC/MSのネガティブモードで検出を行った。本法によるPFB-BPAの保持時間は26.6分であった。その定量範囲は0.01〜100ng/mLまでの広範囲なダイナミックレンジで測定でき、相関係数は0.998と良好であった。また、検出限界はS/N=3で10ng/mLのBPA標準溶液を添加して、その添加回収試験を実施したところ、ヒト血清では98.5%、コントロール血清では100.9%と良好な結果が得られた。

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