平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

エチル誘導体化GC-MS法を用いた、ヒト母乳、さい帯血、血液、腹水中の
ビスフェノールAの高感度測定

分担研究者  牧野 恒久 (東海大学)
研究協力者  岩崎 克彦、和泉 俊一郎 (東海大学)

研究要旨

  ビスフェノールA(BPA)は内分泌かく乱物質の一つと考えられており、健康影響に関する調査研究の実施が急務とされている。我々が先に開発し、平成10年厚生科学研究補助金(生活安全総合研究事業)による「内分泌かく乱物質の胎児、成人等の暴露に関する研究に関する調査研究(指定研究)」の研究報告書において報告した「ジエチル硫酸を誘導体化試薬として用いるGC-MS法」により、ヒト母乳、さい帯血、血液、腹水中のBPAの測定を実施した。食生活、居住環境などの生活環境や、病歴を含む生化学データなどが入手可能なボランティアを測定対象とし、血液、腹水を測定する婦人科グループと、母乳、さい帯血、母体血を測定する産科グループの2グループに分け、各々30および15検体について、調査を実施した。その結果、産科グループでの母乳、さい帯血、母体血中のBPAは、本法で測定したところいずれもNDであった。いっぽう、婦人科グループでは、30例中の1例においてその腹水中BPAがで1.7ng/mlで検出されたが、操作ブランクが真の値よりも小さく、それに伴い測定値が真の値よりも大きく算出された可能性が示唆された。その他の腹水及び血液でのBPAの測定は全てNDであった。

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