平成11年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

先天性外陰奇形(尿道下裂)の内分泌環境に関する症例対照研究

主任研究者  小柳 知彦 (北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科 教授)
研究協力者  野々村 克也、柿崎 秀宏、村雲 雅志

研究要旨

  当科で経験した尿道下裂61例につき臨床統計的ならびに内分泌学的検討を加えた。尿道下裂の程度分類は、glandular type 22例(36.1%)、penile type 18例(29.5%)、penoscrotal type 10例(16.4%)、perineal type 3例(4.9%)、chordee without hypospadias 8例(13.1%)であった。未熟児あるいは低体重出生児(2,500グラム以下)として出生した症例が28.1%を占めたが、その後の身体的発育には健常児と有意差を認めなかった。合併異常は61例中36例(59%)にみられ、そのうち停留精巣をはじめとした陰嚢内容の異常が47.2%と最多であった。また、妊娠中にプロゲステロン投与を受けたものが59例中18例(30.5%)にみられた。
  31例の尿道下裂患児に対し、LH-RH試験、hCG負荷試験を行い、18例の同年代の健常男児と比較検討した。尿道下裂では健常児に比してゴナドトロピンはLH-RHに対して過剰反応を示し、hCG刺激に対してテストステロンは低反応を示した。尿道下裂の程度が高いものほどこの傾向は顕著であった。以上の結果から、尿道下裂症例では思春期前の段階からすでに何らかの程度の精巣機能障害、特にライディヒ細胞の機能障害が存在することが判明した。

戻る

内分泌かく乱物質ホームページに戻る
平成11年度 厚生科学研究報告書のページにもどる