平成10年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

分担課題:子宮重量を指標とした生体試験

分担研究者 山崎寛治 
(財)化学品検査協会化学品安全センター 日田研究所・試験研究課長

研究要旨

エストロゲン作用物質であるethynyl estradiol (EE)及び抗エストロゲン作用物質であるZM189154 (ZM)を19日齢の幼若雌Crj:CD® (SD)IGS BRラットに3日間経口または皮下投与し、子宮重量を指標として、これらの作用の検出が可能かどうか、またいずれの投与経路が感度において優れているかを検討した。さらに、卵巣を摘出した成熟ラットを用いて、皮下投与による同様の実験を行った。各々の実験において、無処置対照群、媒体対照群、EE投与群として0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10μg/kg/day、ZM投与群として0.1、1mg/kg/dayの各群を設け、毎日1回3日間投与した。なお、ZM投与群の動物には、EEを陽性対照物質としてZMと同時に投与した。最終投与の約24時間後にエーテル麻酔下にて放血安楽死させた。子宮重量測定の際、子宮腔内の内容液を取り除かないままの状態の重量(wet weight)に加え、両子宮角に割を入れ、湿らせたろ紙に子宮腔内の内容液をしみ出させた後の重量(blotted weight)を測定した。幼若雌ラット経口投与、皮下投与、卵巣摘出ラット皮下投与のいずれの実験においても、EEのエストロゲン作用及びZMの抗エストロゲン作用を検出することができた。また、子宮の絶対重量、相対重量、wet weight、blotted weightのいずれにおいても同様の検出感度が得られた。投与経路については、幼若ラット皮下投与ではEE O.3、経口投与ではEE 1μg/kg/day以上の群で子宮重量の有意な増加がみられ、前者が後者に比べてEEの作用を高感度に検出した。また、幼若ラットと卵巣摘出ラットの皮下投与では、同様の感度を示した。今回の実験は、強力なエストロゲン作用を持つ物質を用いたものであり、投与経路及びどのような動物を使用するかについては、今後さらにより弱い作用を持った物質を用いたvalidation作業において検討する必要がある。

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