平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

分担研究報告書

食品中の植物エストロゲンに関する調査研究


分担研究者 外海泰秀 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 食品試験部部部長

分担研究協力者 中村優美子 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 食品試験部主任研究官

研究要旨

9植物エストロゲントロゲン(daidzin, daidzein, glycitin, glycitein, genistin, genistein, equol, formonetin, biochanin A)の含量の実態調査を,国産及び輸入大豆11及び大豆加工食品である水煮3検体,炒り豆1検体,黄粉2検体,豆腐4検体,凍り豆腐1検体,おから1検体、あげ3検体,納豆2検体,味噌7検体,醤油8検体,豆乳2検体,湯葉2検体について行った.更に,平成8年度国民栄養調査成績に基づき日本人の植物エストロゲンの1日摂取量を算出した.Genuineの植物エストロゲンは,液体食品はSep-pakRにC18に負荷して精製し,固体食品は必要に応じてよりn-ヘキサンで脱脂した後粉砕あるいはホモジナイズした試料を80%メタノールで抽出後遠心分離して得た上澄みをSep-pakR C18により精製HPLCにより測定した.植物エストロゲン総量は,各食品を10 N塩酸及び抗酸化剤として0.05%BHTを含むエタノールで100℃,3時間還流させながら加水分解を行い,遠心分離して得た上澄みをSep-pakR C18により精製し,遊離型としてHPLCにより測定した.分析はflavoneを内部標準として用い,各検体につき3試行で行った.大豆及びその加工食品に含まれる主要な植物エストロゲンはdaidzin, genistin, glycitin, 及びそのアグリコン(遊離型)であるdaidzein, genistein,glycitein,であり,equol, formononetin, 及びbiochanin Aは検出されなかった.大豆は種類及び産地により,植物エストロゲン含量及びその組成に差が見られた.加工食品中もっとも植物エストロゲン含量の高いものは,黄粉であり,最も少ないものは醤油であった.植物エストロゲンの市税についてはほとんどが配糖体として存在したが,醤油,味噌,揚げ,黄粉では遊離型の割合が高くなった.また,日本人として大豆及びその加工食品からの植物エストロゲンの摂取量は遊離型として算出するとdaidzein 12.01mg,glycitein 2.28mg,genistein 13.46mg,合計 27.75mgであった。

 

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