平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

総括研究報告書

内分泌かく乱化学物質の食品、食器等からの曝露に関する調査研究

主任研究者 齋藤行生 国立医薬品食品衛生研究所副所長

研究要旨 

内分泌系をかく乱する化学物質に対する暴露は主として経口によると考えられる。そこで生活環境中に比較的多く検出される化学物質のうち内分泌系をかく乱すると考られている物質、フタル酸エステル類、有機スズ化合物、インフラボン類、肥育ホルモン、ビスフェノールA等フェノール化合物をとりあげ分析法に関する検討及び実態調査を行った。その結果、食品中のフタル酸エステルの分析については重水を利用する分析法を検討しバックグラウンド値を精度よく差し引く方法を工夫した。更に歯がため及びオモチャから糸口的に乳幼児が直接摂取するフタル酸エステル類のレベル推計する方法を検討した。スチレンダイマー及びトリマーのポリスチレン製品中の残留量は平均7,920μg/gであったが、食品擬似溶媒への溶出は、水60℃、30分では見られなかった。PCBの検出率は96%で殆どの魚介類から検出されたが、養殖魚では濃度が低く、且つ地域差よりは魚種による差が大きいことが明らかとなった。DDT及びHCH等は東京湾や瀬戸内海の内海産の魚介でレベルが高い傾向ある。植物エストロゲンの摂取量はゲニン体として算出したところ27.5mgであった。肥育ホルモンの摂取量はFAO/WHO合同食品添加物専門家会議で提案されているADIから判断すると問題となる量ではないと思われる。ポリカーボネート製品から溶出するビスフェノールAは9℃、30分で0.2〜68.1ng/m1であった。又、給食時児童が1人当たり約0.15μg/kg/回と推計された。

 

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