平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

分担研究報告書

フタル酸エステルのポリエチレン、ポリプロピレン製・容器包装からの溶出に関する調査研究

協力研究者 石井里江,堀江正一,小林進(埼玉県衛生研究所)

研究要旨

フタル酸エステル類(PAE)は、ポリ塩化ビニルをはじめとするプラスチック製品の可塑剤として広く汎用されており、近年、内分泌撹乱作用が疑われる化学物質として問題となっている。そこで、本研究では、市販されている食品用器具・容器包装へのPAEの使用実態について調査をするとともに、食品等への溶出を把握するために擬似溶媒を用いた移行試験を行った。市販されている食品用器具・容器包装を中心にポリエチレン及びポリプロピレン製家庭用品について調査した。その結果、調査した194検体中、ポリエチレン製品2検体、ポリプロピレン製品3検体からフタノレ酸ジブチ(18.7〜74.4μg/g)が、そのうち2検体からフタル酸ジエチルヘキシル(7.8〜90.3μg/g)が検出された。ポリプロピレン製品に付属していたポリ塩化ビニルレ部品1検体からフタル酸ジブチル(6.9μg/g)、フタル酸ジエチルヘキシル(599.0μg/g)およびアジピン酸ジエチルヘキシル(365.0μg/g)が検出された。また、検出されたPAEは食品疑似溶媒である水への移行はほとんど認められなかったが、ヘプタンヘはいずれの試料とも移行が認められた。

 

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