平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

分担研究報告書

内分泌撹乱化学物質の食品,食器等からの暴露に関する調査研究

ポリカーボネート食器,食品缶詰等からの溶出に関する調査研究


協力研究者 堀江正一.石井里枝,吉田栄充,小林進 埼玉県衛生研究所

研究要旨

ビスフェノールA(BPA)には,内分泌撹乱作用の疑いが指摘されておりポリカーボネート製品などからの微量溶出が問題となっている。そこで、本研究では市販品及び実際に学校給食で使用されているポリカーボネート製食器やエポキシ塗装箸からのBPAの溶出について溶出実態調査を行った。結果の概要は下記の通りである.

1.使用中のポリカーボネート製給食用食器からのBPAの溶出濃度はND〜66.7ppbであり,約3割の容器から1ppb以上の溶出が見られた。しかし,市販の新調品からの溶出量は殆どが検出限界以下であった。一方,エポキシ塗装箸は検出量、検出頻度ともポリカーボネート製容器に比べかなり高い傾向が見られた。

2.浸出溶液の影響をみると,n一ヘプタンによる溶出量が最も少ない傾向が見られた。これは、n-ヘプタンのBPAに対する溶解性の低さと、溶出温度が25℃と低いこと等が考えられる。

3.繰り返し溶出試験を行った結果,ポリカーボネート製食器からの2回以降の溶出量は初回溶出量に比べ顕著な減少を示した。一方,エポキシ塗装箸5回目の再溶出でも50ppb以上溶出されたものも見られた。

4.ポリカーボネート製容器を電子レンジで加熱使用することにより,BPAの溶出は促進されることから,電子レンジで加熱使用することは避けるべきと考えられる。

 

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