平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

総括研究報告書

内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の暴露に関する研究

主任研究者  中澤 裕之 (星薬科大学 薬品分析化学教室 教授)

研究要旨

  本研究は、外因性内分泌かく乱化学物質がヒトの健康に影響を及ぼしているかを究明するのを最終目標に、補正予算に基づく指定研究として内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の暴露に視点をおいて実施された。単年度研究であるために、先ずる環境庁がリストアップした内分泌かく乱作用が疑われている代表的かつ社会的に問題になっている化学物質を取り上げ、生体試料として血液、母乳、毛髪を対象に分析法の開発に取り組んだ。
  具体的には下記に示す内容に対して多数の機関が参画し、総合的に本研究プロジェクトを推進し、衛生行政の施策に供するデータの取得を試みた。

(1)内分泌かく乱化学物質の胎児・乳児暴露等に関する調査研究
  母乳、臍帯血、妊娠血液を対象とした内分泌かく乱物質の超高感度分析の確立を目標に試料調製法を含む測定法を構築した。

(2)母乳中の内分泌かく乱化学物質と乳児の健康影響に関する調査研究
従来のダイオキシン類解析に関する研究手法を参考に、母乳中に含まれるダイオキシン類の濃度と乳児の甲状腺機能の低下等、母乳等の乳児への影響について考察した。

(3)内分泌かく乱物質の成人暴露等に関する調査研究
@子宮内膜症患者の腹水中における内分泌かく乱化学物質に関する調査研究。
  この研究には子宮内膜症患者の腹水の採取方法と内分泌かく乱物質の超高感度な分析法の構築が必要であり、基礎的測定条件を検討した。
A成人の血液、毛髪中の内分泌かく乱物質と食生活要因等に関する調査研究。
  成人への内分泌かく乱物質の暴露量を知るために、血液についてはヘキサクロロベンゼン(HCB)、2,4-D、2,4,5-T等について高感度分析法を開発、また毛髪に関しては有機スズの高感度分析法を検討した。
Bヒト解剖検体の肝臓、脂肪、血液等各種臓器、部位への内分泌かく乱化学物質の分布等関する調査研究。
  我が国における人体への内分泌かく乱物質暴露量の実態を明らかにし、組織内蓄積分布を計測し、将来の対策の基礎データを取得した。

 

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