平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

分担研究報告書

毛髪及び血液中の有機スズ化合物の分析法に関する研究

分担研究者  織田 肇 (大阪府立公衆衛生研究所副所長 副所長)
協力研究者  益川 邦彦 (神奈川県衛生研究所 所長)

研究要旨

  有機スズ化合物の人体暴露量の調査を目的として、毛髪及び血液を対象とした分析法の検討を行った。炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ(GC-FPD)及び質量分析装置付きガスクロマトグラフ(GC/MS)を用い、選択性の高い分析法の開発を行うことができた。
  本分析法を用いたヒト毛髪中の有機スズ化合物の分析の結果、トリブチルスズ化合物が24検体中5検体から0.010〜0.028ppm(検出限界0.010ppm)の範囲で検出された。さらに、検出された5検体中4検体についてはGC/MSの選択イオン検出法(SIM)により、金属スズ(Sn)の天然同位体存在比を基に主要なマスフラグメントのイオン強度比を標準品と比較した。その結果においても、人体毛髪中には有機スズ化合物の存在が示された。なお、血液については混合血液(全血)1検体からトリブチルスズ化合物0.014ppmが検出されたが、血漿3検体についてはいずれも不検出であった。

 

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