平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

分担研究報告書

GC/MSによるヒト生体試料中のクロロベンゼン類、パラオキシ安息香酸エステル類
及びホルモン系除草剤(2,4-D、2,4,5-T等)の高感度分析法の開発と実試料の分析

分担研究者  織田 肇 (大阪府立公衆衛生研究所副所長)
協力研究者  藤島 弘道・月岡 忠・寺澤 潤一 (長野県衛生公害研究所)

研究要旨

  ヘキサクロロベンゼン(HCB)、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)類、2,4-D、及び2,4,5-T等は内分泌系をかく乱する可能性があると指摘されている。そのため、これら化合物の高感度分析法を開発し、生体試料の測定を行い、実態を把握する必要がある。そこで、まずヘッドスペースSPME-GC/MS等による分析法を検討し、実試料に応用できる高感度分析法を確立した。次に、この方法を用いて、成人血(n=6)と、出産した妊婦(n=16)の血液、臍帯血、母乳についてこれら化合物の測定を行った。その結果、成人血からp-ジクロロベンゼン(0.3〜210ppb)、HCB(0.07〜0.40ppb)が検出された。2,4-D、2,4,5-T及びパラベン類は検出されなかったがパラベン類の代謝物であるp-ヒドロキシ安息香酸(18〜72ppb)が検出された。また、出産した妊婦の血液、臍帯血及び母乳については、臍帯血でp-ジクロロベンゼン(n.d.〜2.0ppb)、HCB(n.d.〜0.1ppb)、p-ヒドロキシ安息香酸(45〜293ppb)が検出された。妊婦血液からはp-ジクロロベンゼン(n.d.〜2.7ppb)、HCB(n.d.〜0.19ppb)、p-ヒドロキシ安息香酸(36〜211ppb)、母乳からはp-ジクロロベンゼン(n.d.〜9.40ppb)、HCB(n.d.〜1.2ppb)、p-ヒドロキシ安息香酸(27〜278ppb)が検出された。

 

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