平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

総括研究報告書

内分泌撹乱化学物質等、生活環境中の化学物質による
健康リスクの評価における不確実性の解析に関する研究

主任研究者 関澤 純 (国立医薬品食品衛生研究所・化学物質情報部)

 

研究要旨

 ダイオキシンを含む内分泌撹乱化学物質のリスク評価に関する情報を収集し、リスク評価における不確実性要因と不確実性の幅について、解析した。
(1)リスク評価における不確実性分析に関する文献を収集、内容を検討し一部を和訳した。
(2)不確実性分析の解析ソフトを入手し、それぞれの特徴を検討し本研究に活用した。
(3)ダイオキシン類のリスク評価に関し、世界保健機関(WHO)、欧州連合(EU)、米国有害物質疾病登録庁(ATSDR)、オランダ国立公衆衛生/環境研究所(RIVM)から評価情報を入手し、評価根拠について検討した。別途、ダイオキシン類の急性毒性において大きな種差を生ずる要因についても検討した。
(4)内分泌撹乱化学物質については、米国環境保護庁(US EPA)、ドイツ政府、オランダ政府の報告書を入手し、このうちオランダ政府の報告書(オランダ語)を和訳した。
(5)内分泌撹乱化学物質のうち活性の強さと暴露量から考えて、ヒトとりわけ日本人に影響を及ぼしている可能性がもっとも高い物質を優先し、問題とされているいくつかの物質も加えてリスク評価関連の情報を収集し、解析した。すなわち、大豆中に含まれるホルモン活性物質、有機スズ、ジエチルスチルベストロール(DES)、ビスフェノールA(BisA)、メトキシクロール(MTC)について検討した。
(6)植物ホルモン物質の文献データをリスク評価に有用なかたちにデータベース化した。植物ホルモン物質について食品中含量の幅、摂取量の概略値と、代謝能力の個人差などの詳細な検討の結果、不確実性の要因とその幅、および今後必要な県有の一部を同定した。
(7)リスク評価の不確実性分析に関する欧州での第一人者の研究者を招待し、内分泌撹乱化学物質のリスク評価に基づく研究と対策の優先順位付けのスキーム案を作成した。
(8)今年度の研究成果の公表および海外招待研究者による講演を兼ねて、研究者、企業、行政、市民を含む内分泌撹乱化学物質のリスク評価と不確実性分析に関する公開のワークショップを開催し、リスク評価への理解の促進を図った。

 

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