平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)

分担研究報告書

大豆成分の内分泌かく乱機構に関する研究

分担研究者 西川 秋佳 (国立医薬品食品衛生研究所・病理部)
協力研究者 池田 尚子・今沢 孝喜 (      同上      )

 

研究要旨

 大豆イソフラボン類には甲状腺発がんを促進するものが含まれるとの報告があり、ラットに過剰の大豆含有飼料を与える甲状腺濾胞上皮の肥大、過形成を経て腫瘍が誘発されるが、それが植物性エストロジェンの作用に基づくものか、あるいはそれ以外の作用によるものかは明らかにされていない。
 そのメカニズム解明の一環として大豆過剰摂取あるいはヨード欠乏による甲状腺および下垂体のホルモン動態ならびに病理組織学的変化について検討した。大豆単独投与では甲状腺の形態学的変化は下垂体に比べて軽度であり、しかもT4は増加傾向にあることから、下垂体上位への直接反応である可能性が示された。大豆成分の過剰摂取による甲状腺刺激作用のメカニズムはヨード欠乏の場合とは異なる可能性があるが、植物性エストロゲン作用との関連は不明のままであり、さらに追究する必要がある。

 

戻る

内分泌かく乱物質ホームページに戻る
平成10年度 厚生科学研究報告書一覧のページにもどる