平成10年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

総括研究報告書

食品中残留農薬検査の超迅速化に関する調査研究

総括研究者  佐々木 久美子 (国立医薬品食品衛生研究所 食品部 第一室長)

研究要旨

  農作物の残留農薬試験を効率化するために、残留農薬超迅速分析法に関する4課題の分担研究を実施した。
  分担研究1では、超臨界流体抽出(SFE:Supercritical Fluid Extraction)条件を最適化し、SFEによる穀類中の残留農薬の一斉分析法を確立した。さらに、穀類試料に対するSFE法と従来の溶媒抽出法との比較を行い、検出された多くの農薬に対してSFE法が溶媒抽出法と同等の測定値を与えることを確認した。
  分担研究2では、GC/MSによる農薬の多成分一斉分析法を検討した。アセトニトリル抽出液をゲル浸透クロマトグラフィー及びカートリッジカラムでクリーンアップ後、GC/MSで定性・定量する試験法について添加回収試験を実施して、問題点を明らかにするとともに。実用性のある解決策として対象作物毎にSIMプログラムを組むことを提案した。
  分担研究3では、LC/MSによる食品中残留農薬の定性・定量法の確立を目指して、食品に残留した農薬の定性確認方法を検討し、定性条件の最適化を試みた。オキサミル、カルバリル及びメチオカルブについて標準品と当該農薬を残留した食品から得られた抽出試験液中の農薬のMSスペクトルを比較することにより、定性確認できることを明らかにした。
  分担研究4では、(1)ELISAを用いた柑橘類中のイマザリル分析法を構築し、HPLC法との相関性を試験した。その結果、双方には、非常に高い相関が認められ、本法が日常分析法として高い有用性を有することが示唆された。(2)ピリミカーブについてELISA法の開発を行った。ヘテロロガスなELISA測定系が、高感度化のための技術として有用な手法であることを例証するとともに、ピリミカーブの残留分析に応用可能なELISA法の基礎を構築した。(3)競合ELISA法のダイアジノンとアルジカルブ市販キットの有用性について検討した。

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