平成10年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

Bisphenol A のラット及びサルにおける体内動態試験

分担研究者  大野 泰男 (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター,薬理部長)
研究協力者  紅林 秀雄 (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター,薬理部)

研究要旨

   被検薬物Bisphenol A(BPA)の標識化合物[ring-14C(U)]を合成し、放射性純度(99%)及び放射性濃度(11.5MBq/mg)の高い化合物が得られた。この標識化合物を含む被検薬物を雌雄のF344ラットに経口投与(20,100,500μg/kg)し、経時的に採血して血漿中放射能濃度の変化を測定した。その結果、血中濃度は投与量に応じてほぼ線形に増加した。また、BPAの吸収率は100μg/kgではほぼ50%であった。また、雄の方が雌よりも血中濃度が高かった。なお、経口投与では腸肝循環が著明に認められ、消失半減期は100μg/kg投与2〜3日後で約15-18時間であった。BPAは乳汁中に排泄され、排泄濃度は投与後8時間で最高となり、この時の乳汁排泄濃度は血漿中濃度の約1/4であった。
  雄サルにBPAを100μg/kg静脈内投与と経口投与したときのCmaxおよびAUCに差は少なく、生物学的利用能bioavailabilityはほぼ100%であった。また、明瞭な腸肝循環は認められなかった。消失半減期(投与後8-48時間)は約15時間であった。

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