平成10年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

ヒト組織における性ステロイド代謝酵素と受容体の検索に関する研究

分担研究者  笹野 公伸 (東北大学大学院医学系研究科医科学専攻病理学講座)

研究要旨

外因性のエストロゲン様作用物質についてのヒトにおける代謝機構は殆ど解明されていない。 今回、17β-HSD1はアロマターゼによりアンドロゲンからE1が産生される場所と同じ絨毛の syncytiotrophoblastsで発現が見られ、17β-HSD2は妊娠12週以降の絨毛内の毛細血管の 内皮細胞で発現が見られ、17β-HSD1、2は同じ絨毛内でも異なる分布を示す事が示された。 このことは、胎盤の絨毛内の毛細血管の内皮細胞に認められる17β-HSD2が、生物学的活性の 高いエストロゲンを分解する事により胎児を過剰なエストロゲンの曝露から守っている 極めて重要な生体防御機構である事が考えら、今後種々の内分泌撹乱物質のヒト胎児に対する 影響を考えるにあたっても、極めて重要な知見を提供したと考えられる。

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