【注解】 ビスフェノールA(BPA)は、1891 年に合成された化学物質で、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料やポリ塩化ビニルの安定剤として多用されている。その国内生産量は平成13 年度で約49 万トンである。BPA は2 分子のフェノールとアセトン1 分子の縮合反応物で、その性状は白色の粉末状で、アセトン、メタノールには溶け易いが、水には溶け難い性質を有している。 体内動態の概要は次のとおりである。ヒトでは、消化器管から速やかに吸収され、肝臓等でグルクロン酸抱合体に代謝され、主に尿中に排泄される。低濃度暴露(50μg)及び高濃度暴露(1mg)共に24 時間以内にそのほとんどが尿中(80-97%)に排泄される。 ラットに経口投与した実験(800mg/kg)では、2 日以内に投与量の80%が糞尿中(主に糞中)に排泄され、8 日後には完全に排泄される。 このように、経口投与されたBPAの排泄過程は種差により大きく異なり、ラットでは主に糞中に、ヒトやサルでは主に尿中に排泄される。
注1 LC/MS
法は誘導体化操作を必要とせず、簡便である。しかし、夾雑成分の影響を受け易い点が、現状での課題である。 注2 本法は主に尿試料を分析対象とする。PFB 化しNCI-GC/MS で測定する方法もある。 注3 BPA-d16 を用いても良い。 注4 International Sorbent Technology Ltd.製のIsolute Multimode 等がある。 注5 スペルコ製、スペルクリンENVI-18 等がある。 注6 スペルコ製、スペルクリンENVI フロリジル等がある。 注7 BSTFA:N,O-Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetoamide, ジーエルサイエンス社製等がある。 注8 BPA は、プラスチック製実験器具、精製水、駒込ピペットのゴムキャップなどにも含まれており、高感度分析を達成するためには次の点等に留意し、操作ブランク値の低減化を図る必要がある。 ・ 精製水には、BPA の汚染が少ないミリQ 水等を用いる。 ・ ガラス器具は使用前にアセトンで洗浄して使用する。 ・ カートリッジは、必ず一定量の溶媒等でコンディショニングを行う。 ・ 試薬類の微量採取時には、プラスチック製チップは使用せず、ガラス製マイクロシリンジ等を使用する。 ・ エバポレーター内をアセトンで留去するなどして十分洗浄して使用する。 注9 Agilent Technologies 製のZonbax XDB 等がある。 注10 移動相:0.01%酢酸−アセトニトリル(55:45)の利用も可能であるが、試料が尿の場合妨害を受け易い面がある。 注11 J&W Scientific 社製のDB-5MS 等がある。 |