世界保健機関(WHO)からのノロウイルス関連情報
https://www.who.int/en/


国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2022年第4四半期報告(2022年10〜12月)
INFOSAN Quarterly Summary, 2022 #4, October - December 2022
10 February 2023
https://www.who.int/news/item/10-02-2023-infosan-quarterly-summary-2022-4

(食品安全情報2023年6号(2023/03/15)収載)


食品安全事例

 2022年の第4四半期に国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)事務局は、世界保健機関(WHO)加盟の37の国・領土が関連した計47件の食品安全事例に対応した。このうち生物的ハザード関連の事例は30件で、その内訳は、サルモネラ属菌(12件)、リステリア(Listeria monocytogenes)(6件)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)(3件)、大腸菌(2件)、エルシニア(Yersinia enterocolitica)(2件)、A型肝炎ウイルス(1件)、クロノバクター(1件)、ノロウイルス(1件)、赤痢菌(Shigella sp.)(1件)およびブドウ球菌(1件)であった。また、化学的ハザード関連の事例は7件(鉛(2件)、メチルアルコール(2件)、ヒスタミン(1件)、テバイン(1件)、不明(1件))、物理的ハザード関連の事例は5件(ガラス(2件)、金属(2件)、プラスチック(1件))、非表示のアレルゲン/成分に関連した事例は3件(亜硫酸塩(1件)、小麦(1件)、その他のアレルゲン(1件))であり、残りの2件については関連したハザードが不明であった。

 本四半期にINFOSAN事務局が対応した上記47件の事例に関連した食品カテゴリーは、食肉・食肉製品(8件)、野菜・野菜加工品(6件)、複合食品(6件)、乳幼児用食品(4件)、乳・乳製品(4件)、カテゴリー不明の食品(4件)、スナック・デザート・その他の食品(3件)、魚・水産食品(3件)、アルコール飲料(2件)、果物・果物製品(2件)、ハーブ・香辛料・調味料(2件)、ノンアルコール飲料(2件)およびナッツ・油糧種子(1件)の順に多かった。

 INFOSANのメンバーおよび協力機関の積極的な関与により、これらの食品安全事例の60%がINFOSAN加盟各国の緊急連絡窓口(ECP)および情報連絡窓口(FP)を介して、15%が欧州委員会(EC)の「食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF)」を介して、また25%がWHOの様々な経路を介してINFOSAN事務局に報告された。


地理的状況

 上記の食品安全事例には、WHOの全ての地域の計37の加盟国・領土が関連した。本四半期に事例を報告した加盟国の地域別内訳は、欧州(22/53カ国)、米州(4/35カ国)、西太平洋(3/27カ国)、東地中海(3/21カ国)、南東アジア(3/11カ国)、およびアフリカ(2/47カ国)であった。

〇 鶏肉製品に関連している可能性がある複数国にわたるサルモネラ(Salmonella Mbandaka)感染アウトブレイク

 2022年9月13日に、サルモネラ(Salmonella Mbandaka)感染によるアウトブレイクおよび患者クラスターの発生がWHO加盟9カ国から報告された。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、2022年11月8日時点で患者計196人が特定されている。このうち19人が入院、5人が敗血症を発症し、英国の患者1人が死亡した。最新の調査結果は、そのまま喫食可能な(ready-to-eat)鶏肉製品が本アウトブレイクに関連していることを示唆している。本アウトブレイクに関する詳細情報は、ECDCが発表した迅速アウトブレイク評価(以下Webページ参照)から入手可能である。
https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/salmonella-mbandaka-chicken-outbreak-assessment_1.pdf

 2022年12月20日に、英国およびイスラエルのINFOSAN担当者を交えて多国間会議が開催され、ECDCからも関係者が出席した。この会議は、関係各国におけるアウトブレイクの状況およびフードチェーンの調査に関する情報を共有するために行われた。

 現時点での疫学データおよび患者由来株についてのWGS(全ゲノムシークエンシング)解析による微生物学的エビデンスは、様々な食品流通チェーンを介した複数の感染源が存在する可能性があること、および鶏肉の供給チェーンを遡ると共通する単一の感染源につながる可能性が高いことを示唆している。本アウトブレイク調査は継続しており、新たな情報が得られた場合は更新情報が発表される予定である。


ニュースおよびその他の活動(タイトルのみ紹介)

〇 アジア太平洋地域のINFOSANを強化するための地域会議(2022年12月6〜7日)p> 〇 米州地域のINFOSANを強化するための第9回地域会議(2022年11月9〜10日)



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部